単勝1.9倍、断然の1番人気に推された
ゴールドシップがスタートでまさかの大出遅れ。これまで7戦6勝、2着1回と最も得意としていた仁川の舞台で15着に沈んだ。
大一番で気性難を露呈してしまった。ゲートには目隠しをして先入れ。前走の
天皇賞・春制覇時には散々ゲート入りを拒んだだけに、おとなしくゲートインする姿を見てファンは胸をなで下ろしたに違いない。ところが、隣の
ラブリーデイが入った途端に白目をむいて咆吼(ほうこう)。ゲート内で立ち上がってしまった。
「あとちょっとというところで馬がうなった。それで最後(発馬)は駄目。この馬らしいね」と横山典は淡々と振り返る。2度目に立ち上がった際にスタートが切られ、ラ
イバルたちから約2秒、5〜6馬身遅れる形での発進を余儀なくされた。
3角手前から上昇するシーンにスタンドは沸き上がったが、馬群の最後尾に取り付くので精いっぱい。直線で全く加速するそぶりを見せない6冠馬に、追うのをあきらめた鞍上。致命的な不利でも、この人馬なら挽回してくれる-。そんなファンの願いが届くことはなかった。
近日中に放牧に出されるが、次走については白紙。決まっているのは、今回の出遅れによって、
天皇賞・春に続き発走調教再審査が課せられることだけだ。「(馬券を)買ってくれたお客さんには悪いけど、これも込みでアイツの個性。それを応援してもらえたら」と関東の名手は理解を求める。「こんな馬をいつも応援してくれてありがたいです。見捨てず、見守ってやってください」。強さと危うさが同居する“悪童”に、須貝師は頭を抱えた。今後、順風満帆な“出航”ができるか否か-。避けて通れない課題があらためて陣営に突きつけられた。
提供:デイリースポーツ