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函館スプリントS

  • 2008年07月07日(月) 12時59分
 福島のラジオNIKKEI賞も見どころの多い接戦だったが、3歳馬同士のハンデ戦。次に結びつけるのは難しい面がある。サマースプリントシリーズの第一戦というだけでなく、函館スプリントSの結果はこの夏だけでなく秋にも直結しそうだ。

 今年の函館の芝コースは例年よりコンディションが一段と良く、クッションの利いた走りやすい馬場に恵まれている。それもあって記録された1分08秒4はレースレコードだった。さらにゴスホークケンとウエスタンビーナスが激しく競り合うように前半3F32.8秒(洋芝になっての函館では最速記録)で飛ばしたこともある。しかし、勝ったキンシャサノキセキはこの猛ペースをかかり気味になだめながら追走するスピード能力を見せている。4コーナーで斜行する荒っぽいレースになったこと、1200mのレースに慣れてきたためかこの距離でも行きたがる素振りをみせたことなど、好時計が示すほどスマートな内容ではなかったが、シリーズチャンピオンに向けて大きくリードした。というより、秋のGIスプリンターズSの最有力馬の一頭になったろう。

 今回のかかり気味になるほどの行きっぷりを見ると、続けて1200mに出走したため1400m、1600mではこれまで以上に折り合い不安をもたらしそうに思えるが、スプリンター部門では高松宮記念で先着を許したファイングレイン(父は同じフジキセキ)と互角の評価を得てもいい立場になった。

 ゴール寸前の1Fは12.0秒。決して脚いろが鈍ったわけではないキンシャサノキセキをクビ差まで追い詰めたのはトウショウカレッジ。テレビ愛知OPと同じように巧みにインを衝けたこともあるが、ストライドからしてパワー型のスプリンター。いかにも函館の芝向きだった。

 テンのダッシュ力に乏しいため、いとこの関係になるシーイズトウショウとは総合レベルは異なるが、同じ洋芝のキーンランドC(札幌1200m)は合いそうに思える。

 3着キングストレイルは、前の2頭とは2馬身の差以上にスピード能力の差があった。ベストは1600mだろうが、道中で気を抜いたりするため、少し時計がかかりさえすれば速い流れの1200mの方が凡走はしない。こちらもキーンランドC向き。

 猛ペースで競ったゴスホークケンとウエスタンビーナス。5着に踏みとどまったゴスホークケンの展望は明るい。並ばれると他馬を必要以上に気にしてしまう若さはだいぶ解消してきた。今回はスランプ脱出のために行くだけ行ってみたのだろうが、秘めるスピード能力はさすがだった。差す形になっても、逃げる策をとってもどのみち一本調子型からは脱しきれないのがこの父系の死角であり、また長所でもあるが、もう春の不振から抜け出せることは間違いない。

 福島のラジオNIKKEI賞でこのあとすぐ結果を出せそうなのは、ともに人気で3着と4着にとどまったダイバーシティとスマートギア。2戦だけのダイバーシティは広い東京からいきなり小回りの福島。それも馬場の荒れたインを通る形になったのはキャリアがキャリアだけに苦しかったのだろう。スマートギアは残念ながら大きく出遅れ。先行馬の残る流れの中、ただ一頭だけ上がり34.1秒で外から突っ込んできたからちょっともったいなかった。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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