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3場ともに一杯追われた馬が重要

  • 2008年07月08日(火) 11時30分
 先週末は各競馬場とも天候に恵まれて乾いた馬場でレースが行われました。その結果、決着時計が速く、調教適性の高い馬が好走するレースが若干減りましたが、一定の条件では特定の調教タイプがかなり高い確率で好走しているので、今週はそのあたりを中心に回顧していきたいと思います。

 先々週から書き続けているのが「一杯に追われた馬」が好走する函館芝。競馬総合チャンネルの「速報!調教Gメン」では先々週、先週と函館芝1200mでトラックで一杯に追われた馬を推奨馬として取り上げましたが、先々週のメジロアースラが7番人気2着、そして先週の函館SSではトウショウカレッジが5番2着と好走しています。

 2頭ともメンバー最速の上がりを計時しての追い上げ。特に函館SSのトウショウカレッジは勝ち馬キンシャサノキセキにクビ差まで詰め寄る豪快な末脚を使いました。このレースには同じ末脚自慢のスピニングノアールが出走していましたが、後方からトウショウカレッジよりコンマ6秒遅れの6着。こちらはトラックで標準的な強さの追い切りしか消化しておらず調教適性がなかったため、鋭い末脚が使えなかったと分析しています。

 仮柵移動もない今週もこの調教傾向に変わりはありません。また、この一杯に追われた馬は1200mに限らず1800m、2000mでも好走します。6日目洞爺湖特別で8番人気3着したスパニッシュソウルがトラックで一杯に追われていました。また、このレースで4着だったのがトラックで本数多く調教を積んでいた7番人気リメインオブザサン。中距離になると一杯に追われた馬同様に、本数多く調教積んでいる馬の好走確率が高くなるので、8日目に行われる巴賞でもそのような調教タイプが好走すると思います。

 函館芝同様、先々週からの傾向を引き継いでいるのが福島芝。その象徴だったのが5日目の阿武隈S。サケダイスキが暴走気味にレースを引っ張って前半1000mの通過が57秒6。こうなれば後半は他馬がまくり気味に仕掛けていくだけに勝負どころから息の入らない厳しい流れが続きます。こういった流れに強いのが坂路で本数多く調教を積んだ馬が強い展開になります。

 先行グループにいながらも3着に踏ん張ることができたインベスターは9番人気。この馬は坂路を主体に本数多く調教されていました。能力的には決して評価されていたわけではなく、過去に芝実績があったわけでもないこの馬にとって3着に粘ることができた結果は他の先行馬よりも調教適性に優れていたと判断できます。また、後方からはココナッツパンチが坂路で本数多く調教されていて2着。脚質は違っても同じ調教タイプだからこそ馬券圏内で共存することができるのです。

 今週末は阿武隈Sと同じ距離で行われる七夕賞。ここも逃げ馬の出方次第で阿武隈Sと同じようなペースになることは間違いありません。あとは、競馬総合チャンネルの「今週の調教Gメン」で解説したいと思います。

 先週の時点で福島ダートは坂路調教馬が有利と分析しましたが、先週の結果を見ると坂路でもトラックでも併用でも調教本数が多いことが重要だと感じました。猪苗代特別を勝ったスペラーレは坂路とトラック併用で調教本数が多い馬。5日目12Rベローチェは坂路主体に本数多く調教されて7番人気2着。先手を奪えて本数多い調教を消化しているような馬はよほどのことがない限り、凡走しないのが今の福島ダート1700mです。

 阪神芝は5日目、6日目に行われた芝1600mから「一杯」がキーワードになりそうです。南港特別は坂路で一杯に追われたディープスピリットが勝ち、米子Sでは坂路トラックの併用で一杯に追われたフサイチアウステルが逃げ切り勝ち。脚質問わず一杯に追われた馬が1着になっています。また南港特別ではスパルタに調教されたケイエスユリが12番人気にも関わらず4着まで追い上げており、もう少し馬場が荒れると着順を上げてくる調教タイプだと思います。

 最後に阪神ダート。相変わらず1800mではトラックで一杯に追われた馬が好走しています。6日目に1400mで行われた皆生特別はトラックでスパルタ調教されていたマジックボンバーが完勝しました。通常の阪神ダート1400mでは坂路で調教されている馬が有利なので、プロキオンSも坂路有利の調教傾向になると思いますが、たとえトラック調教馬でも一杯に追われている場合は注意した方がよいでしょう。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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