さまざまな波乱パターンを繰り返し、05年まで1番人気馬が26連敗のJRA記録を持っていた「七夕賞」は、また今年も難しい結果がもたらされた。伏兵ミヤビランベリが逃げ切り、好位にいて流れに乗ったミストラルクルーズが伸びて2着。軽ハンデ馬の、先行馬同士の決着だった。
小回り福島の2000m。ふつうなら波乱の「パターンA」だが、例年以上に内側の芝が傷んでいたため、たとえペースがスローになってもがそのまま残るシーンはイメージしにくいところがあった。大半の馬が馬場の内側を避けて通るコンディションは、どの馬も前半はあまり無理できない。そんな思惑や読みも重なったのだろう。
勝ったミヤビランベリは、2走前には2000mを1分59秒1の逃げ切りを決めていたが、自分の形にならなかった前走は同じ2000mで今回人気のキャプテンベガの13着。ところが、同型の逃げ候補がいなかったこのレースでは、逆にノーマークの単騎逃げに持ち込むことに成功した。強気に格上挑戦を決め、思い切りいい吉田豊騎手に「行ってくれ」の指示を出した陣営の作戦勝ちともいえる。
最近、また盛り返すように評価の上がっているタフなオペラハウス産駒。牝系ファミリーも非常に渋く、誉め言葉に用いるのはどうかという気もするが、ミヤビランベリはハルウララと「いとこ同士」になる。
2着したミストラルクルーズは、上がり馬として注目された2月のダイヤモンドSでは結果が出なかったが、菊花賞にも挑戦したほどの期待馬。今回のような休み明けに良績が集中するあたり、あまりタフではないが、そろそろ本物になってくれるだろう。
人気のカネトシツヨシオーは、スタート直後の行き脚が良くない追い込み馬。この流れ「60.3-59.5秒」になっては苦しかった。みんなが外を回るコース取りだから、さすがにさらにその外を回って動くこともできず、3コーナーからスパートしたものの、形作り……の残念な結果に終わってしまった。
キャプテンベガは確かにようやく良くなってきた、今回は早め早めの位置取りを要求される流れの中、慣れない形とあって少しかかってしまったのが敗因。キャリアの差だろう。しかし、どうも体つきが硬く映るあたりが大成をはばんでいる原因という気もする。また、トウショウヴォイスは福島コース向きではなく、成績が示す通り巻き返しがあればこのあとの新潟と思える。
同様にマイネルキッツも、理想は我慢して最後の最後に脚を使いたいタイプだけに、自分から動いて出なければならない福島では、あと一歩のところまで追い詰めながら寸前で鈍ってしまった。やはり東京、新潟向きなのだろう。
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