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函館記念

  • 2008年07月28日(月) 12時50分
 ブリンカーを付けて逃げた伏兵メイショウレガーロの作ったペースは前半1000m通過59.0秒。他のコースの2000m重賞なら決して無理なペースではないが、レースの後半1000mは61.3秒。上がりは「48.9-36.9-12.7秒」まで落ち込んでいる。これが洋芝の函館記念の典型的なパターン。

 勝負どころの3コーナーからはどの馬も気合を入れつつ追い通し。それでもへこたれずに我慢し、懸命に伸びた馬だけが上位を占める結果となった。いかにも洋芝適性が最大のカギを握る函館記念らしい内容で、今年は残念ながら0.1秒差の4着にとどまったものの、またエリモハリアーが突っ込んできた。ハンデ頭の8歳馬、負けたとはいえこれは立派なものだ。前回とは一変の好気配だから、函館の気候まで合うのだろう。

 勝ったトーセンキャプテンは前回の巴賞では置かれすぎたため、今回はスタートで気合を入れたが先行できず、道中はずっと手応えも良くなかった。勝負どころの3コーナー手前からは追い通し。インを狙ったというよりやむを得ずインを衝いたようなところもあるが、逃げたメイショウレガーロの内が少し空いていたのは幸運。結果、コースロスまったくなし。藤岡佑介騎手のファインプレーにつながった。あの手応えで最後まで伸び切ったのだから、巴賞が示す通り、さらには父母両系の血筋通り「抜群の洋芝巧者」であることはまちがいない。このあとは札幌記念の予定。相手は(たぶん)ずっと強化するが、注目の素質馬がようやく復活。さらなるパワーアップに期待したい。

 惜敗のフィールドベアーは、ゴールでは首の上げ下げの小差。早めに動きながらバテることなく伸びて、これで函館の芝[3-5-0-1]。エリモハリアーと同様、抜群のコース適性を示した。トーセンキャプテンと同じく、スタンド改築のため来年の函館競馬がないのは残念だが、こちらは札幌コースでも能力減はないと思える。

 マンハッタンスカイはもう大崩れはなくなっているが、あとワンパンチが不足した形での惜敗。マンハッタンカフェ産駒らしく洋芝コース、さらには平坦コースも合っているが、金鯱賞、新潟大賞典の内容からすると、もっと時計の速いレース向きかもしれない。

 人気上位になったグループでまたまた難しい結果になったのは、追い出して伸びを欠き6着にとどまったピサノパテック。GIIIくらいならいつ勝っても不思議ないと思えるのだが、好調時に正攻法のレースをすると決まって案外。東京コースで上がり33秒前後の「爆発力」を発揮したことのある素質馬だが、いざとなると底力もう一歩になってしまう。大胆な位置取りで、上手くはまれば…の大駈けを策す戦法しかないかもしれない。

 試みに取り入れられた「木曜日段階での馬体重」発表。追い切り直後の木曜日の時点で、休み明けの注目馬が10〜20kgも減っていたりすれば、それは大きな死角として検討材料になる。悪いことなど少しもない。だから歓迎したいのだが、しかし、なにもそこまでしなくとも…。ファンサービス、情報提供に対する「視点」がだんだん迷路に入り込んで、重箱の…に陥りつつあるような気がしないでもない。失笑の「メイクデビュー」と同じで、JRAには暇を持て余すあまり、なんかしなければならないスタッフが山のようにいるのではないか? と思わせてしまう。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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