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小倉記念

  • 2008年08月04日(月) 12時50分
 久しぶりに切れ味をフルに爆発させたドリームジャーニー、初の重賞で2着したダイシングロウ。トップハンデの57kgと、56kgの2頭。ローカルのハンデ重賞とはいえその中身は濃く、サマー2000シリーズだけでなく秋の中央場所のビッグレースでも条件さえ揃えば通用するのではないか、そう思わせる快走だった。

 とくに圧勝したドリームジャーニー(父ステイゴールド、母の父メジロマックイーン)は、まだ4歳。この春の2戦こそもう一歩だったが、完全復活を示すと同時にパワーアップ歴然だった。2000m1分57秒9の勝ち時計は、レースの流れがもっとも時計の速くなるバランス『前後半59.3-58.6秒』に乗ったものとはいえ、最後は独走しての3馬身差。余力さえあった。

 ここまで勝った重賞は1600mの朝日杯FS、2400mの神戸新聞杯、そして2000mの小倉記念の3つだが、今回の2000mがもっとも強かった印象がある。

 これからのビッグレースを考えると、小柄な馬体もあって、58kgで1600mを1分32秒台で乗り切らなければならないマイル戦はベストとはいえないだろう。明らかに2000mから2400mの方が合っている。今回の小倉記念で示した3コーナー過ぎからの行きっぷりを見ると、平坦巧者で、かつコーナーの多い小回りコースこそ最高の条件ではないのかと思わせたりするが、神戸新聞杯2400m2分24秒7(上がり34.5秒)の内容から考えると、小さくとも決して非力ではない。秋の天皇賞、ジャパンCを目標に掲げる路線でいいだろう。

 ダイシングロウは先行策を取るかと思えたが、中団に控えてスパートのタイミングを計る作戦。3コーナーで「外に出したら急に行く気を出してしまった」という一気のスパート。スタート直後を別にするとここが「ハロン11.5秒」と最速の部分だから、結果はちょっと本意でもない強気すぎるレース運びになったうえ、ドリームジャーニーの格好の目標になってしまった。しかし、完敗とはいえ初の重賞挑戦を自分から動いて1分58秒4だから中身は十分。充実は本物だった。こちらもまだまだ上昇の望める4歳馬。体つきも一段とシャープになっている。

 伏兵ケンブリッジレーザは最後方から52kgを生かし切った善戦。この日、9レースで斜行降着になった安藤光騎手だが、スパートのタイミングやコーナーワークがモノをいう小回りコースに移って、ベテランは冴えに冴えていた。

 ヴィータローザは、函館記念のエリモハリアーではないがコース巧者ぶりをフルに生かしての好走。まだまだ条件さえ合えば侮れない。一方、連覇を狙ったサンレイジャスパー、立ち直りの期待されたレインダンスは案外の内容で完敗。たしかに夏は牝馬の季節ではあるが、一度ローテーションが狂わせたり、スランプに陥った牝馬の立ち直りは、その見極めが難しい。一変に期待する手もあるが、牝馬だからこそレース内容に兆しが見えてから再評価の方が賢明かもしれない。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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