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関屋記念

  • 2008年08月11日(月) 12時50分
 あまりハイペースにならない新潟の外回りの1600m。今回もスローに近い流れが予測されたが、タマモサポート(絶好調の松岡騎手)がハナを切って1000m通過59.9秒の超スローペース。前後半の800mずつは[48.3-44.5秒]。なんと前半のほうが3.8秒も遅いという珍しいバランスになった。

 ただし、最後の直線が約660mもある新潟コースだから、レースが壊れたわけではない。各馬ほとんど一団に近い形から、上がり「44.5-32.9秒」のスピード決着に持ち込まれた。

 切れ味の勝負というより、後半だけが速くなった「加速力」の優劣とすべきだろう。

 マルカシェンクは折り合ってタメが利いたのが最大の勝因。完全復活なったいま、どういう形でも勝利は動かなかったろうが、先行すると案外詰めが甘くなる危険がある。なだめて進むことができ、隣に手応えの良かったリザーブカードがいたのも幸運。直線のラップは「11.0-10.0-11.9」。まるで直線1000mのレースのようになったが、10.0秒の高速ラップが刻まれた地点で勝負を決めた(抜け出した)から素晴らしい。距離は2000m級まで平気でも、ベストはマイル前後。直線が平坦の「マイルCS」は最も合いそうだ。

 リザーブカードも互角のスタートからうまくなだめて進み、この馬の上がりも32.6秒。全能力を出し切ったといえる。勝ったマルカシェンクとは切れ味とか爆発力ではなく、スピード能力の違いだろう。出走例は少ないがこれで新潟1600mでは、2、2着。ともに上がり3Fは32〜33秒台。負けてはいるものの、実は大変な「平坦巧者」であることを示した。

 逃げると思われたフサイチアウステルはプラス20kg。特に太めにも映らず半分は充実だろうが、ダッシュがつかず自分の形には持ち込めなかった。

 タマモサポートはスローに落として粘ったが、今回はデキ一歩。2000mを1分58秒5で圧勝した当時のデキだったら、もっと差のない勝負に持ち込めたと思える。

 特注は16か月ぶりだったマシュリク。流れに乗って上がりを32.9秒でまとめたから立派。成長分があっても明らかに余裕残しの馬体。いきなり高速上がりのレースは苦しかったはずだが、最後までしっかり伸びている。順調に使えるようになればたちまち重賞級だろう。

 好調トウショウヴォイスは自分からは動けない馬だけに、この流れでは4着止まりも仕方がない。昨年好走した新潟記念に出走してくるようだと、2000mのほうが好勝負に持ち込める可能性が高い。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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