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関西馬が新潟に強い理由

  • 2008年08月26日(火) 17時50分
 いよいよ夏競馬も終盤戦。新潟、小倉の開催は先週の競馬が終了して、残り2週となりました。

 このふたつの競馬場に関しては「輸送」に関することで知っておいていただきたいデータがあります。今日はそれを中心に先週の競馬を回顧してみたいと思います。

 新潟で大活躍しているのが「関西馬」。とにかく出走していれば、どれかが勝ってしまうのではないかというくらいの勢い。先週も3日目、4日目合わせて[8-3-3-36]と勝率16%をマークしています。

 これだけ関西馬が活躍できる理由には「輸送」と「坂路」を挙げることができます。

 まず輸送についてですが、栗東から新潟競馬場へのアクセスの良さ。これは実際に新潟で競馬を使ったことのある厩務員に聞いた話になりますが「栗東から新潟競馬場に着くまでに右折、左折する回数が10回もない」という話。

 馬運車が曲がることによって、当然車体が左右に揺れますので、そうなれば馬が気を遣うこととなり、ストレスを感じやすくなります。よって直線距離が長ければ長いほどストレスを感じないということです。輸送による負担が少ない、これは競走馬にとって大きな利点といえます。

 次に坂路についてですが、前記先週8勝した関西馬のうち、最終追い切りを坂路で行った馬が6勝。これを率にすると、最終追い切りを坂路で行った馬のの勝率が23%なのに対して、DW(トラック)で行った馬は勝率が5%しかありません。この数字の違いは新潟の長い直線に関係あるのだと考えています。

 栗東坂路の場合、計測されるラスト2F(400m)が直線で傾斜のきつい形状になっています。その直線をビシビシ追われて駆け上がってくる追い切りが新潟の長い直線での叩き合いになった時のスパーリングのような形になっているのだと思います。

 絶好の馬場状態だった2回新潟の前半開催などは外からの差しよりも内をタイトに回って距離ロスなく乗ることが勝敗のターニングポイントになっていましたが、内の馬場が悪くなっている今はどの馬も外を回って直線の叩き合いで勝負を決することが多いので、2回新潟の前半開催に比べると栗東坂路で追い切りした馬の活躍が目立っているのでしょう。

 もちろんこの傾向は残り2週、続いてくれることと思いますので、関西馬でも坂路で最終追い切りを行った馬を積極的に狙っていってください。

 続いて小倉競馬の輸送について。夏は小倉開催が2か月続くため、その輸送回数が2、3度ある馬も少なくありません。小倉への輸送は8時間ほど馬運車に揺られる必要があるため、その往復を繰り返すと疲労が蓄積すると思われるでしょう。

 しかしながらトーワユメジはこの夏、3度目の輸送にして小郡特別を勝っています。現在では空調設備も整い、高速道路の舗装状況もよいので、道中の馬への負担はかなり軽減されているようです。

 実際、先週の競馬で小倉滞在していた馬は[4-6-9-44](※連闘は除く)と連対率にして16%弱ですから、狙い撃ちできるような成績とは言えません。技術が進歩した今となっては「小倉の後半開催は滞在馬」という時代でもなくなったようです。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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