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新潟2歳S

  • 2008年09月08日(月) 13時00分
 キャリアの浅い2歳馬にとってちょっと残念で、かわいそうな馬場コンディションになってしまった。しかし、勝ち時計1分35秒4(レースの前後半47.2=48.2秒。上がり3Fは35.3秒)が示すように発表は不良でも、他場の不良馬場と比べればそれほど走りにくい馬場状態ではない。あまり高速の決着に持ち込まれたり、速すぎる上がりが記録されると、2歳馬の場合、かえって反動や脚元への負担が生じることも珍しくないだけに、実はそれほど悪コンディションではなかったともいえる。

 期待されながら結果の出なかった馬には「馬場状態が合わなかった」。そういうコメントが続出することになる。たしかにキャリアの乏しい2歳馬、そのとおりなのだが、広がる未来を展望するときいつも走りやすい「良馬場」が用意されているわけではない。期待の大きかった注目馬には、この程度の馬場はこなして欲しかった。このぐらいのコンディションを敗因の第一に求めるようでは「あまりたいしたことはない」。厳しい評価が下ってもやむをえない側面もあるだろう。レベルの高いとされた注目馬がそろっていただけに、生じた結果は、いきなりきびしい現実と向き合わなければならないことを示している。

 勝ったのは、人気のセイウンワンダー(父グラスワンダー)。もっと接近した人気と思えたが、直前はさらに人気が集中して単勝2.5倍。ファンの目はあまりに鋭い。2番手以下を大きく引き離した。スタートはもう一歩。両脇から寄られるようなシーンもあり、たちまち最後方になったが、あわてて追走せず、ダッシュのつかなかったシルクドミニオン(6着)とともに3コーナー手前では離れた後方。3〜4コーナーで「12.5−12.9秒」とラップの落ちた地点で無理することなく差を詰めると、直線は一番外。昨年、シャランジュが通ったと同じコースを真っすぐに伸びて差し切った。この馬だけが上がり3F34秒台。レースの流れからみて、決して「はまった」という勝ち方ではなく、1頭だけちょっと抜けていたのだろう。おそらくスケール、将来性ともにこの馬がNo.1。このあとの展望は大きく広がった。

 2着ツクバホクトオーは1200mしか出走していなかったため人気薄だったが、前回はほとんど追うところなしの完勝だった馬。今回は通ったコースももっとも走りにくいところだったから、決して恵まれたものではないだろう。中身は十分にある。バンガロールは一度止まりかけてもう一回伸びてきた。こちらも渋く成長しそうだ。

 注目のガンズオブナバロン、ダイワバーガンディ、マッハヴェロシティはみんなそろって案外の凡走。この1戦だけで評価の下がるものでもないが、期待の大きかった馬だけにちょっとがっかりの面が大きい。とくにガンズオブナバロンは今回はやけに非力に頼りなく見せてしまった。立て直したい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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