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セントライト記念

  • 2008年09月22日(月) 14時00分
 稍重発表よりは力のいるコンディションになり、総合力とスタミナ能力の試された2200mだった。菊花賞に向けて有力馬は出現したのか、それとも春のクラシックで3着、4着のマイネルチャールズを一応の基準とするとき、大きく浮上した馬はいたのか。かなり難しい結果だった。

 というのも、マイネルチャールズ、ノットアローンをねじ伏せるように勝ったダイワワイルドボア(父アグネスタキオン)は、新星ではない。それどころか、前回は同じ2200mでオウケンブルースリ(今週の神戸新聞杯の伏兵)に3.1/2馬身もの差をつけられて完敗している。さらにその前回は今回も対戦したキングオブカルトにやっぱり同じ距離で負けている馬であり、ダービー出走を賭けたプリンシパルS(2000m)ではベンチャーナイン(今週の神戸新聞杯に出走するが、おそらく人気薄)に負けていた馬だからである。この中間は以前にもまして良かった。しかし、あまり高く評価されなかったのは仕方がない面が大きい。

 全体に時計のかかる総合力の競馬になって、高速の夏のレースとはひと味異なるスタミナが生きたとはいえる。このダイワワイルドボアは3歳の早い時期に東京2400mを2分25秒8(マゼランの小差2着)で乗り切っていた馬。輸入馬の母セニョラージェ(父ヌレイエフ)は1991年の凱旋門賞を制したスワーヴダンサー(父グリーンダンサー)の妹。同じノーザンダンサー系の父だから半妹ではない。スタミナ能力の背景はあるのだろう。陣営は2000mを超える距離にこだわってきた。今回、マイネルチャールズを差し切ったことにより一応は菊花賞路線には乗ることになった。神戸新聞杯の結果により勢力図の中の位置は微妙だが。

 マイネルチャールズは負けはしたが、春のように控えて負けるのではなく、自分でスパートし力の競馬に持ち込んでの敗戦だから納得だろう。爆発力や切れ味で勝負する馬ではないと思えるだけに、こういう敗戦はもっとスケールアップするためには仕方のない過程と考えたい。相変わらずの好馬体だったからまだまだ進化する。

 こういう組み合わせなら、成長力に大きな疑問はあっても通用するのではないかと期待したフサイチアソートは、体こそ減っていたが決してデキは悪くなかった。位置取りも文句なし。勝負どころからあやしくなったのはスタミナ不足だろう。1800mがギリギリなのかもしれない。

 人気のクリスタルウイングは理想的な位置取りで、前にいるマイネルチャールズをマークできる展開。ところが、行きっぷりは良かったが3コーナー過ぎではもういっぱいの脚いろ。体調とか馬場ではないだろう。異常な失速だったのが気になる。

 キングスエンブレムもあの手ごたえで来て伸びないのは、おそらく距離に大きな問題ありだろう。期待の大きい馬だが短い距離への方向転換が必要になった。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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