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神戸新聞杯

  • 2008年09月29日(月) 13時00分
 昨年から2400mになったトライアル。その昨年は飛ばした伏兵がいたためレース全体の前後半は『1分11秒3=1分13秒4』で2分24秒7。

 今年は逆に先行タイプに有力馬が少なかった結果、最初からスローの流れに持ち込まれて、前後半は『1分13秒7=1分11秒6』の2分25秒3。

 スローペースを予測した注目のディープスカイは、春の2冠とは違って最初から中位のインコースにつけ自力で早めにスパートする作戦に出た。ずっと同馬をマークする位置にいたのがブラックシェル。2番手につけたスマイルジャックこそ少しかかり気味になって失速したものの、ダービーの1、3着馬がそのまま1、2着したから、春の勢力図がそのままほぼ平衡移動した形が今回の神戸新聞杯だった。

 1〜3着馬の着差は「クビ、2分の1…」。最後の1Fが12.6秒とかかったのは、早めに自分で動いたことに加え、休み明けだったこともあるだろう。爆発する末脚で差し切ったダービーとは印象が異なるものの、ディープスカイは世代のトップであることを改めて強烈に示し、このあとの秋のビッグレースへの展望は大きく広がった。

 勝ったことにより、菊花賞3000mを次のレースに選ぶか、あるいは2000mの天皇賞(秋)を選択するか、陣営のかかげる目標に自信をもって進めることになった。着差はわずかでもこの勝利は大きい。たとえクビ差でも負けていれば、天皇賞(秋)…ジャパンCへの挑戦はトーンの低いものになっただろう。同じ世代のライバルを封じることにより、「理想に近い距離で、より強い相手と対戦したい」。大きな展望をかかげることができる。

 ブラックシェルは前半からずっとディープスカイをピタッとマークする絶好の位置取り。3コーナー過ぎにペースの上がった地点でスムーズに追撃体勢に持ち込めなかったのが痛かった。このあたりが春と同様、緩急のペース変化に瞬時に反応できない不器用なタイプの弱みなのだが、これで「ダート路線への転向も…」はひとまず保留し、菊花賞を展望することになる。カギは距離だけと思える。

 オウケンブルースリは、今回の2400mの方が3000mの菊花賞よりはるかに切れ味の生かせる距離と思えた。事実、メンバー中No.1の34.5秒の末脚で馬群を割って突っ込んだのだが、ディープスカイと0.1秒差。このスローだからペースに対応できなかったわけではなく、ちょっと「もったいなかった」印象が強い。

 初めてのオープン。まして相手はダービーの1、3着馬であることを考えるなら、互角に近い能力を示し、菊花賞への展望が開けたことでOKとすべきだろうが、ブラックシェルと同様、あるいはもっと距離延長に死角のあるのがこの馬である気がする。

 スマイルジャックは、あのスローで失速した皐月賞と同じ。折り合っているようにみえても、気がいい馬だけに自身がかってにムキになってしまう面がある。休み明けだけになおさらだった。ダービーでは折り合ったのだから、ほんのわずかの変化で一変があるだろう。菊花賞で巻き返したい。体つきは春よりずっとシャープになっている。同じ厩舎のベンチャ―ナインは、オウケンブルースリとほぼ同じ最後方に近い位置から0.4秒差の4着。こちらも本番菊花賞への望みはまだつながっている。

 もし、ディープスカイが菊花賞ではない路線を選ぶと、2つのトライアルから「候補」の絞られる菊花賞になりそうだが、一昨年のソングオブウインドのような大駆け型出現の可能性も、また非常に大きい勢力図と思える。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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