スマートフォン版へ

坂路の決め手が活きる東京芝

  • 2008年10月21日(火) 13時00分
 先週、東京芝で行われた重賞は府中牝馬S。毎日王冠と同じ距離になりますが、競馬総合チャンネルの「速報!調教Gメン」で、坂路で一杯に追われた馬が好走していると書いて、そのデータに該当したアドマイヤフジが3着。そして府中牝馬Sでも同じように坂路で一杯に追われたブルーメンブラットが、カワカミプリンセスを差し切って1着。単勝800円という好配当をつけました。

 血統ファンの方ならアドマイヤフジとブルーメンブラットは同じアドマイヤベガ産駒だから好走したんだと思われるかも知れません。もしそうであるなら、どうしてブルーメンブラットよりも人気していたキストゥヘヴンはブルーメンに0.4秒の着差をつけられて5着に敗れたのでしょう?

 私はその理由をキストゥヘヴンがポリトラックで追い切られたトラック調教馬だったからだと考えています。

 府中牝馬Sには坂路で一杯に追われて出走した馬がブルーメンを含めて3頭いましたが、すべてが人気以上の着順の結果を残しています。決して血統傾向を否定するわけではありませんが、今の東京芝1800mは坂路で一杯に追われた馬が好走しやすいということです。

 6日目にはテレビ静岡賞がこの条件で行われますので、ぜひ坂路で一杯に追われた馬を探してみてください。

 また5日目にはマイル重賞の富士Sが行われます。4日目7Rで4着に敗れはしましたが、メンバー2位の上がり33秒9を使ったカレンナサクラが坂路調教馬だったことを考えれば、やはり芝1600mでも坂路調教馬は重視したいところです。

 東京ダートで目立ったのは「ポリトラック追い」の激走。特に4日目の1000万下で行われた1300mではブイチャレンジが単勝4710円、1600mではゴールドマインが単勝2460円という波乱を演出しました。

 3日目の秋嶺S(1600万下)でもポリトラック追いのナンヨーヒルトップが勝っており、未勝利や500万下では人気より着順を下げるケースも目立つポリトラック追いですが、1000万下より上のクラスになると好走する傾向にあります。

 推測できることはクラスが上がってレースの流れが速くなることがポリトラック追いが好走できる要因でしょうから、今週末に3鞍行われる1000万下より上のクラスのダート戦では積極的にポリトラック追いを狙っていきたいですね。

 続いて京都芝。先週の当コラムでは京都芝外回りについて「坂路で本数多く調教された馬」に注目していただくように書いていました。

 データは坂路で本数多くの調教内容である「標準多め」「スパルタ」の「坂路」「坂路主体」「併用」の調教タイプを該当馬として扱っています。その成績は、

[2-2-4-19] 単回収率67% 複回収率132%

 単勝回収率こそ低調でしたが、堀川特別のヤサシイキモチが13番人気3着という結果で複勝回収率に貢献しています。この堀川特別を勝ったのが標準多め坂路のマルティンスタークであり、1着3着のワイドは13850円という配当でした。

 先々週、標準多め坂路のローズプレステージが好走した清滝特別と堀川特別の共通点は「1800m」という距離。もちろん外回りであれば、どのレースも標準多め坂路の系統を狙っていきたいのですが、開幕して2週の現状ではこの距離条件が最も調教傾向が出ていると言えるでしょう。

 残念ながら今週はこの距離はありませんが、菊花賞をはじめとして外回りレースはたくさんありますので、積極的に坂路で本数多く調教した馬を狙っていきましょう。

 また菊花賞に関しては、競馬総合チャンネルの今週の調教Gメンでじっくりと解説したいと思います。


調教Gメンとは?
 調教をスポーツ科学的に分析した適性理論。それぞれのコースに必要な無酸素運動と有酸素運動の量やバランスを見極め、それに最も適した調教をしている馬を狙う馬券術。競馬新聞の調教欄に記載されている調教場所、調教本数、脚色(例:一杯)を確認するだけでOK。

調教コース&調教タイプの考え方
 調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「一杯平均坂路」に分類される。

調教コース一覧
【トラック】 ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。有酸素運動の強化。
【坂路】 坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。無酸素運動の強化。
【併用】 トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。有無酸素をバランス良く強化。
【トラック主体】 トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。有酸素運動寄り。
【坂路主体】 トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。無酸素運動寄り。

調教タイプ一覧&イメージ図
調教タイプ一覧&イメージ図

netkeiba.comプレミアサービスはJRA全レースの調教を公開中!
 どのコースで何本追い切っているか、好走時、凡走時の調教過程など、過去の調教パターンを比較することで、各馬の仕上がり具合をチェックすることできます。また、直前の追い切りパターンとレース結果と参照することで、今の馬場状態では坂路調教馬が有利、もしくはコース調教馬が有利など、調教タイプでの馬券検討が可能になります。この機会に是非、調教タイムを使ったレース検討の面白さを実感してください。

netkeibaPOGがパワーアップ!「POGダービー」参加者どしどし受付中!

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング