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菊花賞

  • 2008年10月27日(月) 13時00分
 人気に応えて快勝したオウケンブルースリ(父ジャングルポケット)は、初勝利がダービーが終わったあとの6月8日であること。まだ1600万条件からの挑戦で、強敵相手との対戦はディープスカイの勝った神戸新聞杯が初めてであること。陣営も能力全開が期待できるのは「4歳になってからではないか…」と、秋を迎えたばかりのことは半信半疑であったことなどを考え合わせると、まさに「上がり馬」の典型。このあとのトップクラスとの対戦がきわめて興味深くなった。レース直後の展望では「ジャパンCに挑戦したい」と伝えられている。

 レース全体の流れは、かかって飛ばした馬がいたため「58.8-66.7-60.2秒」=3分05秒7。かなり変則の数字が残ってしまったが、アグネススターチが先頭を奪い返した2000m通過地点は「2分05秒5」。前半の乱ペースは大半の馬には関係がなく、最近では珍しいスローの流れだったろう。

 ペースが上がったのはオウケンブルースリが外からスパートを開始したあたりで、坂の下りから「47.3-35.3-11.7秒」。春のクラシック好走馬の大半が欠けたことにより、あまりレベルは高くないだろうと予測された通り、レース全体としては必ずしも中身の濃い3000mではなく、攻防は後半の800mに凝縮された上がりだけのレースだった。

 そのため、自分で中団からスパートし上がりを34.8-11.7秒でまとめたオウケンブルースリの強さだけが光ることになった。巧みに折り合ったというより、うまく流れに乗れていたならばもっと勝ち馬と接近できたかも…と思わせたフローテーション(父スペシャルウィーク)も、まあ一応はこのあとの展望は広がったが、菊花賞の最大の見どころは「このあと4歳以降の未来への展望」であることを考えると、特殊な距離3000mとはいえ、明らかに差のある5着以下にとどまったグループは厳しい立場に立たされた。もちろん、古馬のGI級のレースに挑戦するとしたなら…の置かれた立場ではあるが。

 フローテーションは、皐月賞11着(内田博騎手)、ダービー8着。大きな期待を集めた馬だけに、線の細さに物足りなさが残り、だから人気の圏外だったのだが、スローの流れに結果として我慢して動かなかった。上がり34.6秒はメンバー中No.1。秘める資質は改めて確かめられた。品の良さだけが持ち味ではない成長株としてパワーアップしたい。

 ナムラクレセント(父ヤマニンセラフィム)は流れに乗って正攻法の競馬。一瞬は2着確保とみえたが、勝ち馬との差は神戸新聞杯とそっくり同じ約3馬身。力は出し切った。3着で良しは変だが、まあ納得の菊花賞だろう。スマートギアもナムラクレセントとの比較から、力を出し切っている。母方の血筋通り、1800〜2000m向きは鞍上も認めている。

 マイネルチャールズは、これで三冠3、4、5着。もちろん今回は距離3000mも敗因(最大の)になるが、ちょっとせつないキャラが身についてしまった。古馬になってどういうタイプに変化し、どんなレースを続けるのだろう。期待のかけ方、評価はこの先もずっと難しい馬のままの気もするが、ステイゴールド・タイプであって欲しい。

 スマイルジャックは、皐月賞や神戸新聞杯と同じようにまた途中で「ハミをかんで…」スタミナをロスしてしまった。こういう折り合い難はやがて矯正される(というより、できる)と思えるので、立て直しての再出発に期待したい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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