今週は天皇賞秋が行われますから「東京芝」というカテゴリーを重点的に回顧していきたいと思います。
先週の当コラムタイトルが「坂路の決め手が活きる東京芝」
まさにその傾向が継続した印象で、先週の競馬を見てもトラック調教馬の不振は目立ちました。
関屋記念を快勝して2番人気に支持されていた富士Sのマルカシェンクは見せ場ない13着。神奈川新聞杯でメンバー中の実績は断然だった1番人気ダブルヒーローは直線向くまで絶好の手応えだったものの、直線伸びを欠いて5着。
どちらも1600mという距離に特化した傾向だと考えることもできますが、1800mのテレビ静岡賞の2番人気ダンスアジョイも4着まで差を詰めるのが精一杯の競馬でした。
逆に人気以上の好走を見せているのが坂路調教馬。
先週から「今の東京芝1800mは坂路で一杯に追われた馬が好走しやすい」ということは明記していましたが、その傾向通りに6日目3歳上500万下でロスペトリュスが単勝580円で1着。
また2400mで行われた南武特別はスパルタ坂路のマルモコウテイがメンバー最速の上がりを使って9番人気3着で複勝850円。どちらも栗東坂路調教馬です。
しかし美浦坂路調教馬も負けていません。
富士Sを勝ったのは標準坂路のサイレントプライドで単勝1130円。神奈川新聞杯はメンバー最速の上がりを使ったショウナンアクロスが乗込坂路で外からの差し切りを決めて単勝1000円でした。
人気のトラックが負け、穴の坂路が波乱を演出する。これが今の東京芝だと思ってよいでしょう。
ここにリザーブカード(富士S2着)やシンゲン(テレビ静岡賞1着)の「ポリトラックで1F12.5秒を切っている」追い切りを消化している馬が絡んできます。
今の東京芝は確実にスピードが要求されており、それに応えることができる坂路調教馬やポリトラック追い切り馬が好走しているのでしょう。
ですから特に馬場の重い印象がある栗東のCWやDWで追い切られたマルカシェンクやダンスアジョイでは上位争いができなかったのかも知れません。
週中に雨が降り、7日目が雨天競馬にでもなって馬場が荒れない限りはこの傾向が続くものと思われます。
競馬総合チャンネルの「今週の調教Gメン」で取り上げますが、天皇賞秋に出走するメンバーがどのような調教を課してくるか、今週の追い切りも含めて注目したいところですね。
続いて京都芝の外回り。こちらは「坂路で本数多く調教された馬」に注目していました。
代表的なレースは菊花賞ですが、15番人気2着のフローテーションが標準多め併用という調教タイプに該当していました。
個人的には同厩舎でもスパルタ坂路のノットアローンを評価して馬券を外してしまいましたが、多少手を広げてでも押さえた方がよいのが京都芝外回りの「標準多め」ということでしょう。
また補足になりますが、併用というのは坂路も含んだ調教ですから、標準多め坂路に似た調教内容だと捉えていただいて結構です。
最後に先週から開幕した福島芝。こちらは最終追い切りポリトラックの馬が好走中。
回収率としては目立った数字は出ませんが、特に人気馬がポリトラック追いをしてきた場合はかなりの確率で好走します。
馬場状態の良い開幕週だからこそ好成績を残したとも考えられるので、今週末までが賞味期限の調教馬券術だと思ってください。
調教Gメンとは?
調教をスポーツ科学的に分析した適性理論。それぞれのコースに必要な無酸素運動と有酸素運動の量やバランスを見極め、それに最も適した調教をしている馬を狙う馬券術。競馬新聞の調教欄に記載されている調教場所、調教本数、脚色(例:一杯)を確認するだけでOK。
調教コース&調教タイプの考え方
調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「
一杯平均坂路」に分類される。
調教コース一覧
【トラック】 ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。有酸素運動の強化。
【坂路】 坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。無酸素運動の強化。
【併用】 トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。有無酸素をバランス良く強化。
【トラック主体】 トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。有酸素運動寄り。
【坂路主体】 トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。無酸素運動寄り。
調教タイプ一覧&イメージ図
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