先週から東京の芝については「坂路で一杯に追われた馬」に注目してきた当コラムですが、天皇賞秋ではこの調教パターンに該当した馬が馬券に絡むことはできませんでした。
しかしながら栗東坂路で一杯に追われていた11番人気
カンパニーが直線に向くまで最後方の位置取りでありながらメンバー最速の上がり33.5秒を使って差して4着(3着にはハナ差)というレース内容から間違いなく坂路で一杯に追われた馬には調教適性がある馬場だったと思います。
実際、馬券になった馬としては8日目だけでもくるみ賞の
ストロングガルーダ(単勝750円)や2歳未勝利の
ギンザジャスマック2着(複勝1020円)など人気の有無関わらず好走するケースが目立っています。
今週から2開催目に入る東京芝ですが、レース上がりが33秒台のレースもあったように、とにかく絶好の馬場状態。
これが極端に悪化するとすれば1日中、雨の中で競馬するといったような条件でなければ起こる事態ではないでしょうから、アルゼンチン共和国杯も例外ではないはずです。
ちなみに
昨年のアルゼンチン共和国杯は1〜3着がすべて坂路調教馬(しかも栗東)だったので、今年も坂路調教馬が上位を独占する可能性は高いでしょう。
続いて京都芝。
今週末に行われるファンタジーSについては
競馬総合チャンネルの「今週の調教Gメン」で取り上げることにして、今週は内回りと外回りの両方についてじっくり見ていきましょう。
外回りに関しては先週の当コラムでも書いたように「坂路で本数多く」が好走調教パターンの基本。
対して内回りは外回りに比べてコーナーリングがきつく、直線も短いため、トラック調教が好走パターンの基本でした。
しかし今年に限っては内回りでガンガンに坂路調教馬が好走しています。
その代表が2歳未勝利の
アイレンベルクです。
・3日目京都芝1600m(内回り) 一杯平均トラック 3番人気6着
・8日目京都芝1400m(内回り) 一杯平均坂路 9番人気2着
好走時は減量と距離短縮の効果があった可能性もありますが、私は単純に調教がトラックから坂路に変化して好走したと思っています。
ですから今年の京洛Sは坂路もしくは併用調教馬を狙って馬券を組み立てる方が配当的妙味もある馬を見つけることができるのではないでしょうか。
またダートに関しては1200mで標準多め坂路の好走が目立っています。
4回京都の8日間で[2-2-0-8]、単勝回収率189%、複勝回収率158%という成績です。
特に標準多め坂路が強いと印象付けたのは7日目3歳上1000万下の
テイエムハヤテオー。
結果はアルシラートに内からすくわれて2着でしたが、昇級初戦にしてはレース振りが完璧で標準多め坂路の特徴(長く良い脚を使える)を十分に活かした走りでした。
また8日目の3歳上500万下では一杯平均坂路の
テイエムフルパワーが後方の届かないような位置から差し切って1着。
通常なら前が断然有利な京都ダートですが、4回京都ではズバズバ差し届いているので、前記調教タイプの差し脚質には注意が必要です。
最後は福島の芝。
先々週から始まって2週が終わりましたが、その傾向はすでに変化しつつあります。
開幕週はポリトラック追いの馬が好走を見せていましたが、4日目午後のレースからは徐々に運動量が必要な馬場へシフトしています。
特にそれを感じたのが1200mのレースで1番人気だった
ネバーチェンジが外を回って追い込んできた走り。
鞍上は福島は庭の中舘騎手であり、前走は先行させて好走しているこの馬を後方に下げて外を回らせたということはそれだけ内よりも外がいい馬場状態だということ。
まだ全体的な馬場状態が良好なため、後方からの追い込みでは差し届かないケースも目立ちますが、今週あたりからは確実に外伸び馬場になると思います。
またこの状況を馬券購入者が気付いていない時ほどおいしい馬券も出てくるので、たとえば開幕週には速い上がりを使ったけど掲示板に載ることができなかったような馬を狙い打ってみるのは非常に面白い馬券戦術だと思います。
調教Gメンとは?
調教をスポーツ科学的に分析した適性理論。それぞれのコースに必要な無酸素運動と有酸素運動の量やバランスを見極め、それに最も適した調教をしている馬を狙う馬券術。競馬新聞の調教欄に記載されている調教場所、調教本数、脚色(例:一杯)を確認するだけでOK。
調教コース&調教タイプの考え方
調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「
一杯平均坂路」に分類される。
調教コース一覧
【トラック】 ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。有酸素運動の強化。
【坂路】 坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。無酸素運動の強化。
【併用】 トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。有無酸素をバランス良く強化。
【トラック主体】 トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。有酸素運動寄り。
【坂路主体】 トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。無酸素運動寄り。
調教タイプ一覧&イメージ図
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