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決め手に坂路は必要不可欠

  • 2008年11月25日(火) 16時00分
 先週で福島開催が終了し、今週が東京、京都の最終週。よって今回のコラムでは、今週の競馬に向けて回顧を中心にお届けしたいと思いますが、異例の5週開催だった福島競馬についても少しだけ回顧しておきたいと思います。

 ただでさえ馬場が荒れやすい福島の芝。そんな今までの経験から「5週もあればすぐに運動量豊富な調教タイプが活躍するだろう」と単純な計算をしていました。ところが、運動量豊富な調教タイプの代表である「標準多め」は、9日目、10日目の芝12レースで1勝も挙げることができませんでした。

 逆に活躍が目立ったのは「乗込」。馬なりの強さを本数多くの調教タイプです。福島記念を勝ったマンハッタンスカイも乗込坂路でした。

 強い調教が必要ないということは、それだけ馬場状態が良好だったということ。5週開催であらかじめ馬場が硬く設定されていたのだろうというのが終わってからの実感です。来年の福島も5週開催となりますから、今回の結果を忘れないようにしたいと思います。

 東京の芝について見ていきましょう。当コラムでは続けて「坂路で一杯に追われた馬」に注目していただくように書いていましたが、先週は34頭の該当馬が出走して2勝しかできませんでした。

 数字だけ見れば、とても買い続けることができるようなファクターではないのですが、例えば奥多摩Sでは坂路で一杯に追われたソルジャーズソングが勝っています。そこ同じ調教パターンのマルブツライト(14番人気)が差しては来るものの5着。決して悪い内容ではありませんでした。

 2頭に共通している「栗東坂路」で一杯に追われた馬という限定なら、該当馬の成績も[1-1-0-6]と決して悪くないので、坂路で一杯に追われた馬を狙うなら栗東調教馬が良いかも知れません。

 だからといって美浦坂路調教馬が好走していないかというと、そんなわけではありません。3連単で1000万馬券が出た5日目12Rを勝ったタイセイハニーの調教タイプは馬なりを本数多く調教した「乗込坂路」。実は、美浦坂路調教馬の場合、この乗込坂路の方が好走しており、6日目の新馬戦を勝ったトレノパズルも乗込坂路でした。

 ですから、坂路調教馬の場合、栗東は一杯、美浦は馬なりという感じで狙いを分けてみるとよいかも知れません。

 今週のジャパンCには上記の調教パターンで出走してきそうな馬がたくさんいますので、そのあたりも含めて今週の調教Gメンでじっくりと見ていきたいと思います。

 最後に京都の芝。短距離重賞・京阪杯も楽しみですが、来年のクラシックを占う意味でも重要なのは京都2歳S。なかでも注目はアンライバルドでしょう。新馬戦で下したリーチザクラウンブエナビスタが、その後の未勝利戦でぶっちぎり勝ちを見せたことで一気に評価は上がっています。

 しかし、その新馬戦の調教タイプは「標準少め坂路主体」と非常に少ない調教本数でした。いわゆる「仕上がり途上」という状態での出走だったわけです。それでも0.2秒差をつけてリーチザクラウン(新馬戦は標準多め併用→こちらは仕上がっていた)を下したのですから、その強さは本物です。

 この中間は中4週ですでに4本の坂路とCWの調教をこなしており、新馬戦よりも調教本数が強化して出走してくることは間違いありません。馬券的な妙味はないかも知れませんが、そういった調教過程があっての新馬戦だったことを頭の隅に置いて今回のレースを見ていただければ、アンライバルドの強さをより一層感じていただけると思います。

 京阪杯は馬券的に面白いレースになりそうです。注目は京洛Sを「標準トラック主体」で勝って断然人気が予想されるスプリングソング。確かに京都芝1200mはトラック調教馬が有利な条件ですが、開催が進んで行われる京阪杯になると話は別。昨年も京洛Sは標準トラックのクールシャローンが勝って、京阪杯に出走しましたが、結果は坂路調教馬に先着されて6着でした。

 人気を二分しそうなスプリンターズS・3着のビービーガルダンもトラック調教馬ですから、意外と坂路調教馬からおいしい馬券に出会えそうな気がします。


調教Gメンとは?
 調教をスポーツ科学的に分析した適性理論。それぞれのコースに必要な無酸素運動と有酸素運動の量やバランスを見極め、それに最も適した調教をしている馬を狙う馬券術。競馬新聞の調教欄に記載されている調教場所、調教本数、脚色(例:一杯)を確認するだけでOK。

調教コース&調教タイプの考え方
 調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「一杯平均坂路」に分類される。

調教コース一覧
【トラック】 ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。有酸素運動の強化。
【坂路】 坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。無酸素運動の強化。
【併用】 トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。有無酸素をバランス良く強化。
【トラック主体】 トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。有酸素運動寄り。
【坂路主体】 トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。無酸素運動寄り。

調教タイプ一覧&イメージ図
調教タイプ一覧&イメージ図

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 どのコースで何本追い切っているか、好走時、凡走時の調教過程など、過去の調教パターンを比較することで、各馬の仕上がり具合をチェックすることできます。また、直前の追い切りパターンとレース結果と参照することで、今の馬場状態では坂路調教馬が有利、もしくはコース調教馬が有利など、調教タイプでの馬券検討が可能になります。この機会に是非、調教タイムを使ったレース検討の面白さを実感してください。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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