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阪神ジュベナイルF

  • 2008年12月15日(月) 13時00分
 まだ未勝利を勝ったばかりの2戦1勝馬。多少は半信半疑の面もあったが、ブエナビスタ(父スペシャルウィーク)の能力は、少なくとも今回の対戦メンバーでは突出していることが判明した。馬なりのままだった前回とは異なり、スタート直後、さらには抜け出そうとした直線中ほどで気合をつけたが、追ったというほどではなく、1頭だけ脚色は違っていた。それで2馬身半差。

 昨年のトールポピーは1分33秒8。一昨年のウオッカは1分33秒1。今年の勝ち時計1分35秒2は、ここまで素質を示したのちにクラシックを制した2頭と比べあまりに大きな開きがあるが、今年は前2年とはレースの流れが大きく異なっていた。前半1000m通過は59.6秒のスローで、前2年より1.3〜1.5秒も遅かったこと。また、同日の古馬1000万下のマイル戦が1分35秒1にとどまり、1600万条件の1400mが1分22秒0の大接戦だったから、良馬場とはいえ1600mで推定1.0秒ぐらいの馬場差はあったろう。また競り合ったウオッカ、混戦を追い込んだトールポピーとは異なり、ブエナビスタは馬体を離しての独走だった。

 流れや馬場差を別にして、この2歳牝馬のGI格レースは旧コースの当時から「速い走破時計」で勝った馬だけがのちにクラシック馬となっている。そんなパターンができているが、それはクラシックのころになって、並び立つような強敵が出現してきてからの検討課題でいい。上のアドマイヤジャパン、金杯出走予定のアドマイヤオーラと父が同系なのできわめて似た配合になる妹は、同じ松田博資厩舎で厩務員まで同じという。

 3戦目で初重賞を制し、3戦2勝となったところまで同じ。桜花賞に続く路線の「核」というべきか、「能力の基準」になる馬はこれではっきりした。

 栗東入りしていた関東馬ダノンベルベールは、体つき細化が伝えられ今回は7月の新馬と同じ450kg。どうしてもこの季節の栗毛の馬、まして牝馬は頼りなく映りがちなので細く見えたが、中間の攻め馬を控えたわけではない。好時計で直前の調教もこなしていた。もっとふっくら見せて欲しい気はしたが、体調は良かったろう。もまれる内枠もこなし一旦は抜け出しかかった。楽勝のブエナビスタに2馬身半差は厳しいが、もちろんこれからの成長は望める。一応、展望は開けた。

 3着ミクロコスモスはこれが2戦目。スタートで後手を引く形になり、道中はブエナビスタより後ろのほぼ最後方に近い位置取り。結果は着差からすると完敗だが、このスローを追い込んでブエナビスタに次ぐメンバー中2位の上がり35.2秒。衆目の一致する、さすがの資質は示した。こういうレースの3着は賞金を加算されるわけではないから、このあとが以外に難しい。できるだけ早く2勝目をあげて、そのあとに自由なステップレースを選べる立場になりたい。

 1〜2着馬よりちょっと厳しいローテーションを受け入れなければならないが、まだ2戦しただけ。まして角居厩舎。たちまち追いついてくるだろう。

 以下は、もちろんまだまだみんな変わってくるだろうが、レースの流れを考えると早めに進出しながら前回と同じように追ってよれてしまったジェルミナル、失速したルシュクル、伸びを欠いたワンカラットなど、トップに立ったブエナビスタと(5馬身以上の)着差よりもっと現時点での能力差は大きい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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