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中山金杯

  • 2009年01月06日(火) 18時00分
 7歳アドマイヤフジ(父アドマイヤベガ)の2連覇が、案外スムーズに、鮮やかに決まった。ちょっとスランプに陥った印象のレースが続き、前走はジャパンCダートに出走して結果が出なかったが、大型で冬場は合わないかのように思わせながら、中山金杯2連覇のほかに制した重賞は06年の日経新春杯。このシーズンは合っている。

 また、母アドマイヤラピス(父ビーマイゲスト)が長丁場で良績を残したこともあって長距離戦に出走することが多かったが、毎日王冠1800mでそう差のない1分44秒9の記録を残したように、意外やベストが2000m前後なのだろう。陣営も「この後は2000m以下のレースを選ぶことになる」と今後の路線変更を明らかにした。

 12月の中山から6m内ラチを移動したCコースは、見た目には決して一変の高速コースとは映らなかったが、勝ち時計の1分58秒5はこれまでのレースレコードを大きく上回った。秋の9月(99年)に記録されたコースレコードとタイ記録である。

 やや非力な印象も残り「いまの時期の中山の芝が……」と心配していた4歳ヤマニンキングリーにとっては、時計の速い馬場コンディションが合っていた。また、クラシックを目ざしていた昨年の春シーズンには450kg台だった馬体が現在は480kg前後。明らかに全体にパワーアップしている。一度はかわせそうだったアドマイヤフジに競り負けてしまったが、上昇4歳馬の勢いに乗ってこのあとの展望は大きく広がった。鋭さを秘めた中距離タイプがその真価だろう。

 主導権を握ってギリギリまで粘ったミヤビランベリ自身の前後半は「59.7-58.9秒」。絶妙のペースに持ち込み、同型馬のいない展開も、スピード型向きの馬場コンディションも味方したのは事実だが、終始アドマイヤフジの執拗なマークを受けていただけにこの粘り腰は立派。直線に坂のあるコースで結果を出したのは初めてに近く、派手なタイプではないがこの中身はフロックではない。

 人気の中心オペラブラーボにとっても馬場コンディションは理想的。また、道中の位置取りも完璧だったが、3コーナー過ぎの手ごたえもう一歩だったあたり、OPのこういうペースを早めに追走の経験なしが厳しかった。それでも手ごたえ以上に伸び、結果6着とはいえ勝ち馬との差は0.2秒だけ。大きく負けたわけではない。3連勝当時に比べると「ピーク過ぎかも…」の印象もあったので、これで評価が下がるわけではない。

 ネヴァブション、マイネルキッツは最後に並んで伸びてきた。全体に時計の速いコンディションの中、追い上げたい地点でもまったくラップが落ちなかったため、最後は地力を示したものの前半置かれ気味になったのが痛かった。

 キングストレイルはインを通って巧みに進出してきたが、直線で狭くなったというより、例によって苦しくなってからもうひとがんばりする勝負強さに欠ける。この点がこれまでのもどかしさと同じだった。

 関西の京都金杯は、津村騎手と手の合うタマモサポートがレースレコードの1分32秒9で快勝してみせた。父タマモクロスも、その父シービークロスも「金杯」を制して一気に強くなった馬だった。6歳タマモサポートは若くはないが、この勝ち方ならビッグレースでも侮れない。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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