セイウンワンダー、ロジユニヴァース……などが一歩リードの牡馬路線に期待の候補が加わってきた。アントニオバローズ(父マンハッタンカフェ)の秘めるスケール、可能性はひと足早く抜け出した馬とほぼ互角と思える。
シンザン記念は1月のマイル戦。この微妙な条件設定から、キャリアのある馬が必死で勝っても春本番に結びつかないことが多いが、アントニオバローズはここがまだ3戦目。
07年アドマイヤオーラ、02年タニノギムレットなどの3戦目と同じである。走破時計の1分35秒3はその2頭に及ばず、また与えた印象もタニノギムレットほど強力ではなかったが、8月に1戦したあとずっと休んでいたローテーションからすると実質2戦目にも近く、これからまだ大きな成長が望める。
スローな流れになることが分かっていたから気合を入れながらインから進出。ただし、パトロールフィルムを見るとスタート直後から外に行きかけたり、内に寄ったり、陣営(とくに角田騎手)が課題にあげていたように決してスムーズでもなく、まだ若さ丸出しの追走だった。
直線、抜け出しかかってもまだ真剣に走っていないようなストライドだったが、内から伏兵ダブルウェッジに接近され、併せ馬になってやっと本気になり、フットワークがまともに整ったような印象がある。
角田騎手、かつてのジャングルポケットもすぐ斜行しかかったりする難しい馬だったから、春本番に向けた課題の矯正などお手のものだろう。ほかの馬と馬体を併せる形になって良さが出るあたりに、末頼もしい未来を予感させる(誉めすぎかもしれないが…、3歳馬だからいいだろう)。
父マンハッタンカフェの産駒はこの3年目の世代から大きく評価をあげつつあり、昨08年の2歳総合リーディングは急上昇の5位だった。年が明けて1週目に勝ったベストメンバー(中山2000mの寒竹賞)もかなりのスケールを感じさせる。おそらくこの勢いは今年のクラシックでカギを握ることになるだろう。
たまたまだが、マンハッタンカフェは自身のファミリーにも時の勢いがあり、マンハッタンカフェの「いとこ」になるビワハイジの産駒が、明けて3歳になった牝馬ブエナビスタである。
2着ダブルウェッジ(小牧太騎手)は、1200mを4戦したあといきなりの1600m。巧みにインぴったりを衝いた好騎乗もあるが、いきなりの1600mを1分35秒3で乗り切り、重賞初挑戦で2着したのだから侮れない。マイラータイプとは思えるが、この中身は決してフロックではない。
3着トップカミング(父ゴールドアリュール)も有力馬が前にいたから早め早めに動いての3着。上がり3Fの時計35.2秒は上位2頭とあまり差はないが、追い出してエンジンがかかるのが案外遅く、またスパッとは切れなかった。
人気の中心ミッキーパンプキンは、前回とまったく同じような失速。前走の朝日杯FSでも4コーナーを回る地点ではペリエ騎手の得意のパターンにはまり、一瞬、勝つのはこの馬と思わせながらの失速だった。あれは直線の坂が応えたのではないかと思えたが、今回は京都。
同じようなレース運びで同じように失速し、時計までそっくり同じ1分35秒7。2度にわたり同じような負け方をしたから、残念だがひとまず評価を下げざるを得ない。
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