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引退式の演出

  • 2002年01月17日(木) 00時00分
 新春を迎えて、馬の引退式が続いています。ダイワテキサスに始まり、先日はテイエムオペラオーとメイショウドトウ、そして20日にはステイゴールド。これだけ集中するのも珍しいことです。完全にひとつの時代が動いたということです。

 この馬の引退式、古くは35年前のシンザンから以後、かなりの数の司会をやってきました。今のようにターフビジョンの無い頃は、スタンド上階の実況放送席から下の様子を見ながら御案内をしたこともありましたが、今は映像と連動した形式に定着しています。

 それに、馬が入場してくるときには、G1レース用の音楽が流され、式の進行もパターン化しました。

 以前は、入場用の音楽から、馬を紹介するときのバックで流す音楽、それに退場するときのものと、全てこちらにまかされていて、その選曲に頭を使ったものでした。例えば、トランペット協奏曲のようにのびやかな澄み切った旋律、静かに蹄跡を回想するときにはアンダンテ、退場するときには未来への希望をつなぐアレグロの躍動感といったものを中心に考えていましたが、ある時、競馬場の担当者と意気投合し、ビートルズをやったことがありました。

 入場は「ヤァ、ヤァ、ヤァー」、蹄跡を振り返るときは「ザ・ロング・ワイディングロード」といった具合。これはかなりの冒険でした。

 競走馬にも個性があり、どうニックネームをつけるかも、同時に頭を使ったもので、それによって選曲の方向づけも出来たことがありました。

 今から思えば、それもこれも懐かしいことばかりで、パターン化された現在の引退式を見るにつけ、もうひと工夫あってもいいのではないかと思っています。特に、折角のことですから、流す音楽でより効果を上げるやり方に戻してくれないものかと願っています。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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