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京成杯

  • 2009年01月19日(月) 14時00分
 渋い粘り腰、二の脚を繰り出してアーリーロブスト(父バブルガムフェロー)がしのぎ切るように重賞初制覇を3連勝で飾った。

 「エリカ賞」を勝ったあと、「ラジオNIKKEI杯2歳S」に出走のプランもあったが、中1週のローテーションを避けると同時に、「皐月賞と同じ中山2000mで、それほど強敵がそろうことはない」と、陣営がここに狙いを定めたのが正解。折り合い自在のレース巧者ぶりをフルに発揮した。

 レースの流れは予測された通りのスローで、前後半は「62.0-60.7秒」。現在の中山の芝状態から2分02秒7の勝ち時計は、だいたい例年の「京成杯」と同様のレベルを示しているだろう。

 馬体重よりコンパクトに見せる体つきでムダはなく、2着したナカヤマフェスタとともに完成度で一歩リードしていたといえる。

 今年の3歳牡馬は、まだどの馬が基準になるのか設定しにくいところがあり、アーリーロブストもナカヤマフェスタも、視点はあくまで印象度だが、昨年のこのレース時点のマイネルチャールズ、あるいは一昨年のサンツェッペリン、さらには06年ジャリスコライトあたりとほぼ同様ではないかと思えた。もちろん修正の必要はあるが、一応は、ロジユニヴァース、セイウンワンダーなどよりワンランク下と思える。

 ナカヤマフェスタは間が空いていたためかちょっとカリカリしすぎ。巧みに折り合ったアーリーロブストとの差は、向こう正面で前の馬に乗りかかりそうになった道中のロスだったろう。

 それでも一度は脚さばきがあやしく映った坂下から伸びている。体の成長は感じさせなかったが、ステイゴールド産駒、大きくはならないのが逆に長所でもある。

 脚を余したかのように追い込んでくるとどうしても印象が良くなりがちだが、それを差し引いても「やがては…」と思わせたのは、1頭だけ上がり34秒台で外から突っ込んできたモンテトウルヌソル(父タニノギムレット)。

 まだ成長の途上だろうが馬っぷりは光っている。1勝馬とあって皐月賞を目ざすにはやや厳しいローテーションを歩まざるをえないが、いわゆる将来性ではこの馬がNo.1だろう。

 人気の1頭トゥリオンファーレはまだ全体に非力な印象があり、変わり身を示して欲しかったサクラルーラーも、どうももうひとつ進歩していなかった。

 注目していたサンライズキールは、これまで画面を通して見ていた体つきよりはるかに素晴らしい馬で、この春のレースに期待をふくらませたが、残念。

 どうしてもクラシックを展望する路線では調教のレベルが高まる。と同時に、この時期だから必ずしも芝コンディションがいいとは限らない。ときにアクシデントは起こる。あまりにもかわいそうな脚部の故障だった。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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