スマートフォン版へ

根岸S

  • 2009年02月02日(月) 17時50分
 午前中の不良から少し回復して「重馬場」発表のダートは、もっとも時計の速くなるコンディション。01年ノボトゥルー(旧コース)の1分22秒1に並ぶレースタイレコードが記録された。

 勝ったフェラーリピサはこの東京ダート1400mに1分21秒9のコースレコード(同時に日本タイレコード)を保持しているスピード型だから、休み明けとはいえもっと高い支持を受けても良かったが、なにせ馬にはめったに聞かない顔面神経痛に見舞われたあとで「まだ少し症状が残っている」状態。調教駆けする馬にしては、動きもあと一歩だったのが伏兵人気にとどまった原因。

 しかし、好スタートから終始3〜4番手をキープし、抜け出すタイミングを計っての快勝は着差以上に楽だった。たしかに半信半疑の部分はあったが、もともとポン駆けはOK。さらに今回は距離、コース、馬場状態ともに理想の条件がそろっていた。

 東京ダートではデビュー3戦目の3歳春すでに、1600mを1分35秒9で独走の時計勝負に高い適性を持つダート巧者。メンバーが揃うので賞金順位でも微妙な位置にいたが、これで展望通りに「フェブラリーS」に向かうことが可能になった。

 2着に突っ込んできたヒシカツリーダー(父フサイチコンコルド)は、これでダート1200〜1400m[2-1-2-0]。最初はずっと中距離が中心で、一時は障害にも転じていたが、こういう距離に方向転換して一気に素質開花している。ちょうど馬群の切れ目にいて、3コーナーを過ぎたあたりでうまく外に出すことができたのが大きかった。

 上がり35.0秒はメンバー中最速。まだ底を見せていない一気に突っ込んだ切れ味に注目だが、今年の場合、この馬の獲得賞金だと「フェブラリーS」出走は非常に難しい。

 寸前まで粘ったセントラルコーストは、ちょっと残念。うまくダンツキッスイを一度先に行かせ、逃げ切った前2戦とはまた異なるレースができたが、あと一歩及ばなかった。しかし、格上がりでこの内容の1分22秒2は特注だろう。まだキャリアの浅い4歳馬、このあとが楽しみになった。

 1番人気に支持されたバンブーエール(父アフリート)は、仕上がり自体には問題はなく、また59kgもさして応えたとは思えないが、最初から行きっぷりもう一歩。追ってから伸びなかった。インで詰まったところはなかった。「夏場の方がいいかもしれない…松岡騎手」というのがちょっと気になるのと、これまで1600mには良績がないから、次走「フェブラリーS」での評価は微妙になった。

 ビクトリーテツニーは、唯一心配された最内1番枠が大きな不利となった。巧みに中位のインにつけ素晴らしい手ごたえだったが、道中で外に出すタイミングはなく、危険は承知でやむを得ずインを衝くしかなかった。一瞬は抜け出すスペースが空きかけたような瞬間もあったが、こういう馬場状態だからどの馬も外には開いてくれない。

 残り1Fぐらいの地点で追うと接触の危険も生じたため、あきらめざるを得なかった。バンブーエールとともに人気の2頭、決して「力負け」ではない。ビクトリーテツニーの場合、次のレースは不明だが、現在のデキならすぐ巻き返せるだろう。

 うまく全能力全開になった馬も、枠順や体調一歩でもう一つ能力を出し切れなかった馬もいるのはレースだから当たり前。だから順位こそ入れ替わったものの、16頭立ての上位8番人気までに支持された馬がきれいに上位8着までを占めている。

 東京のダート1400〜1600mのOPクラスのレースでは、それは接戦の組み合わせは難しいものの、あまり「意味不明の波乱」はない。時計が速くなっただけに、なおさら定説に近い結果だったと言えるかもしれない。

毎週、3歳馬を格付け!丹下日出夫の「番付」がnetkeibaで復活!

参加無料!商品総額50万円!netkeibaPOG大会「POGダービー」が開幕!

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング