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東京芝18重賞はP追い

  • 2009年02月03日(火) 11時00分
 先週は週中からの雨の影響により、東京、京都ともに馬場が悪い状態での競馬。

 その影響なのか、東京芝では開幕週にも関わらず外からキャプテンベガ(東京新聞杯2着)が伸びてきたように、内が有利とは言えない馬場状態でした。


 ただ天気が回復した2日目になると、初日ほど外から伸びるという印象はなく、東京新聞杯と同じ芝1600mで行われた節分Sでは内をすくったライブコンサートが差し切りを決めました。


 もちろん、このレースで外からブルーマーテル、メガトレンドといった馬がメンバー1位、2位の上がりを使って追い込んできた点から外が伸びないとは思えませんが、馬場が完全に乾いてしまえば、内を通った方が有利なのではないかと思います。

 調教傾向から分析すれば、前記キャプテンベガやライブコンサートは栗東坂路で調教された馬だったので、マイル戦においては馬場状態を問わず好走した栗東坂路調教馬に注目していきたいと思います。

 ただ共同通信杯が行われる芝1800mでは調教傾向が変わります。先週行われた4歳上500万下と立春賞では、標準トラックが5頭出走して[0-2-1-2]と連下軸として最適の成績を残しています。

 過去の共同通信杯でもトラック調教馬の好走が目立っているだけに、注目すべきは「標準トラック」ではないでしょうか。

 そしてもうひとつ注目したいのが「P追い」。ポリトラック馬場が導入されて以降に行われた2歳・3歳戦の東京芝1800mの重賞は、2008年共同通信杯と東京スポーツ杯ですが、どちらのレースも勝ち馬は「P追い」でした。

 先週は雨の影響もあってP追いの活躍はさほど目立ちませんでしたが、馬場が乾けば好走できる馬場になるかも知れません。よってP追いにも注目です。

 芝以上におすすめしたいのがダート戦での「一杯平均」。先週の成績は[3-0-0-10]で単回収が1023%、複回収でも169%ありました。

 これには開催前に散布された凍結防止剤の影響が多分にあると思います。実は昨年のこの時期、東京競馬では2週続けて降雪の影響で競馬が順延しています。つまり今年も順延しては困るということで通常よりも凍結防止剤を多く撒いたのではないかということです。そうでなければあれだけ雨の影響を受けたダートが差し届く重い馬場にはならないだろうと思うのです。

 この現象は京都ダートに非常に似た傾向がありますから、今後も一杯平均やスパルタといった調教タイプが、例年以上に好走する可能性は大です。

 続いて京都ですが、先週の当コラムに記した通り、明らかに外が伸びる状況になりました。その象徴的なレースが水閣路特別が行われた芝1200m。


 1回京都で行われた芝1200mは内回りに加えて内しか伸びない馬場状態だったため、先行した順番にゴールするという味気ない結果でしたが、先週は外から勢いよく差しが決まるスリリングな展開。4角から直線の入口で外に持ち出したリキアイダンディメイショウカーターが差し届いたのは仮柵移動による外伸びを象徴する光景でした。

 今週はこの条件で重賞のシルクロードSが行われます。「速報!調教Gメン」ではこのレースをじっくりと検討していきたいと思います。

 今週から開幕する小倉では1日目に小倉大賞典が行われますが、特別登録24頭でフルゲート必至のハンデ戦。非常に面白いレースになりそうなので、過去5年の調教傾向を軽く振り返っておきたいと思います。

 過去5年で馬券圏内に入った計15頭のうち、坂路単一調教馬の成績は[1-0-0-22]で、馬券に絡んだのは2004年に一杯平均坂路で勝ったメイショウバトラーのみ。もちろん坂路単一調教で出走した馬には、上位人気に支持されたツルマルヨカニセ(06年3人)やフォルテベリーニ(07年5人)などがいましたが、すべて馬群に沈んでいます。

 一方、好成績を残している調教タイプは標準多め併用。その成績は、
[2-0-1-2] 単回収916% 複回収294% と少数精鋭で馬券に絡んでいます。

 やはりローカルで行われるフルゲートのハンデ重賞。しかも芝1800mという息が入りそうで入らない距離に、実力が接近した馬が集いますから、道中の流れが厳しくなるのでしょう。それに耐えてゴール前で渋太く伸びるには坂路だけではなくトラックとの併用で、なおかつ標準多めといった本数の多い調教タイプが理想なのです。

 過去5年はすべて開催後半週に競馬が行われていたので、芝状態が悪化していたことも運動量を必要とした要因になっているはず。それゆえに1日目という開幕週でどのような調教タイプが好走するか未知な面もありますが「標準多め併用」には注目したいと思います。


調教Gメンとは?
 調教をスポーツ科学的に分析した適性理論。それぞれのコースに必要な無酸素運動と有酸素運動の量やバランスを見極め、それに最も適した調教をしている馬を狙う馬券術。競馬新聞の調教欄に記載されている調教場所、調教本数、脚色(例:一杯)を確認するだけでOK。

調教コース&調教タイプの考え方
 調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「一杯平均坂路」に分類される。

調教コース一覧
【トラック】 ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。有酸素運動の強化。
【坂路】 坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。無酸素運動の強化。
【併用】 トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。有無酸素をバランス良く強化。
【トラック主体】 トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。有酸素運動寄り。
【坂路主体】 トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。無酸素運動寄り。

調教タイプ一覧&イメージ図
調教タイプ一覧&イメージ図

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 どのコースで何本追い切っているか、好走時、凡走時の調教過程など、過去の調教パターンを比較することで、各馬の仕上がり具合をチェックすることできます。また、直前の追い切りパターンとレース結果と参照することで、今の馬場状態では坂路調教馬が有利、もしくはコース調教馬が有利など、調教タイプでの馬券検討が可能になります。この機会に是非、調教タイムを使ったレース検討の面白さを実感してください。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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