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共同通信杯

  • 2009年02月09日(月) 17時50分
 皐月賞まであと2か月ちょっと。ますます候補が増えたり、逆にエース格が限られていくこともあるこの時期の3歳馬の「ステップレース」。このレースには、東スポ杯2着、朝日杯3着のブレイクランアウトが人気の中心として「巻き返し、再評価」を目指して出走してきた。

 快勝したのは、その外国産馬ブレイクランアウト(父スマートストライク)。1800m・1分47秒3は、過去に同じような記録はいっぱいあるが、0.1秒だけ従来の記録を更新するレースレコードだった。東スポ杯2歳Sも小差、朝日杯FSも小差。あとワンパンチ足りない少し不満の内容が続いたが、今回は馬群のインで折り合って進み、武豊騎手の絶妙のコース選択もあって内から一気に抜け出してみせた。

 体つきは新潟で強烈な勝ち方を見せた当時とそう大きくは変わっていないが、全体に芯が入り、たくましくなって一歩前進。心身ともに確実に成長はしているのだろう。

 東スポ杯2歳Sが1800m・1分47秒7(自身の上がり33.4秒)。今回が上がり33.6秒での1分47秒3。馬場差やコース取りの違いがあるので評価は難しいが、ワンランクアップだけは間違いない。東スポ杯のナカヤマフェスタ、朝日杯のセイウンワンダーとは、今後はどちらの成長力が上回るかになる。現時点ではまだ互角ではないかと思える。

 ブレイクランアウトは陣営のにおわせるトーンから、皐月賞、あるいはNHKマイルCを使って「ダービー」を展望することになる。武豊騎手には早速、今週の「きさらぎ賞」にリーチザクラウンがいる。もう例年のことだが、どちらかは途中でコンビを変えなくてはいけない。ともに陣営は主戦騎手から降りて欲しくはない。クラシックのステップはだんだん熱気を増すことになる。

 トーセンジョーダンは離れた3番手で理想的と思える展開。3連勝のレース内容からして、4コーナーを回るあたりでは勝つのはこの馬と思えたが、初めての左回りだったためか追い出して反応が鈍い。かつ内にささり気味。一度は馬群に飲み込まれそうになってしまった。そこから盛り返して2着は、連勝こそ止まったが評価は下がらない。

 馬体重がもっと戻って欲しかったこと、左回りで意外にモタモタしてしまったことなど課題も見えてきたが、少なくとも皐月賞を展望する上ではこのあとのローテーションは非常に楽になった。

 シンザン記念3着のトップカミングが、ちょっと進境を示して3着。ラジオNIKKEI杯4着のマッハヴェロシティがやっぱり4着。これはたまたま偶然一致の着順で、マッハヴェロシティは故障で下がりかけたヒシポジションを避けるように早めに動かざるを得ない不利もあったが、勢力図の中での順位を上げることはできなかった。

 朝日杯FSからの巻き返しが期待されたシェーンヴァルトは、控えて追い込む作戦。道中は勝ったブレイクランアウトとほぼ同じ位置にいて、こちらは大外へ。着差にはコース取りの差もあるが、上がり34.2秒。あまり切れなかった。

 これまでの最速上がりが今回の34.2秒だから、平均ペース向きの先行抜け出し型で、切れ味勝負型ではないだろう。完敗とあって評価は大きく下がるが、右回りで自分から動いて出る形なら、まだ完全に脱落したとは言い切れない。

 人気のブレイクランアウトが支持通り、一歩前進の好内容で巻き返しに成功。トーセンジョーダンの評価はとりあえず平行線。だが、巻き返し、再評価を目ざしたほかのグループはちょっと案外な結果で、新星は残念ながら存在しなかった。勝ち時計はレースレコードだが、レースの印象度からは、共同通信杯の歴史の中でごく標準レベルではないかと感じた。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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