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栗東坂路はダイヤの輝き

  • 2009年02月10日(火) 11時00分
 まずは共同通信杯が行われた東京競馬から振り返りましょう。

 共同通信杯は先週のコラムに書いたように「標準トラックのP追い」のブレイクランアウトが完勝しました。これで2歳3歳限定の東京芝1800m重賞はP追いが3連勝。9か月も先の話になりますが、今年の東京スポーツ杯2歳SもP追いに注目すべきでしょう。

 またブレイクランアウトの完勝をアシストしたのが「内伸び」の馬場。スタート直後は中団より後ろに位置していたブレイクが徐々に内から位置取りを上げていき、直線もきっちり内目を通って伸びてきました。


 これにひっつくように内をスクったのが一杯平均坂路のトップカミング。まるでNHKマイルCのディープスカイにひっついていったダノンゴーゴーのような競馬でした。基本的に共同通信杯は坂路単一調教馬が苦戦するレースですから、標準多め併用のマッハヴェロシティが4着に敗れ、トップカミングが3着に食い込めたのは通った位置取りの差でしかありません。

 同じ日に行われた箱根特別早春Sでも調教適性がなく、能力的にも抜けていると思えないような馬が上位入線していました。この開催に仮柵移動はありませんので、この傾向は続くことになるでしょう。

 今週末行われるダイヤモンドSは3400mと東京競馬場で行われる平地競走の最長距離。もちろんこの開催に同じ距離で行われたレースはないので、過去の好走調教を分析するしかありません。

 これに内伸びという特殊な馬場状態を加味すると、予想するのは困難を極めると思いますが、現時点ではダイヤモンドSに2つのキーワードを見つけることができました。

 そのうちのひとつは、04年の6番人気3着タニノエタニティや06年の9番人気3着トウカイトリックが該当していた「栗東坂路調教馬」。共同通信杯で同じ栗東坂路調教馬のトップカミングが好走したことも考慮すれば、今年のダイヤモンドSでも高配当の原石になってくれる可能性は大きいはず。

 これにもうひとつのキーワードを含めて、週末に更新する競馬総合チャンネルの「速報!調教Gメン」でダイヤモンドSを詳しく展望していきたいと思います。

 東京ダートに関してはまずお詫びから。先週の当コラムで「一杯平均」をおすすめしましたが、先週は該当馬が10頭出走して馬券になることはありませんでした。

 これに替わって大活躍したのが美浦坂路で終い最速ラップを踏める馬。29頭の該当馬がいて[4-2-5-18]で単勝回収率324%、複勝回収率194%と抜群の成績を残しました。

 この根拠について考えられるのは一杯平均も坂路で終い最速ラップを踏める馬も上がり3Fでしっかりした脚が使えるという点。やはり馬ナリ平均系統がスピードにモノを言わせて逃げ切ることができるような馬場ではなく、最後の直線で重いダートを苦にせずしっかりと伸びることができる馬が好走することに違いはありません。

 京都の芝については先週のシルクロードSの結果から外伸び馬場なのは一目瞭然。外回りのレースでも当然のように外差しが決まっており、馬場状態に関しては外からの差し馬に断然有利な馬場です。

 調教タイプに関しては標準多めでなければいけないという結果にはなっておらず、4日目8Rのマイサイドキックのように馬ナリ平均トラックでも差し切ることができています。しかし開催が進めば芝が傷んでいくことはずなので、徐々に標準多め系統の出番が増えてくるはずです。

 では今週末行われる3歳重賞、きさらぎ賞について過去に好走した調教タイプを振り返っておきます。

 過去5年計15頭の1〜3着馬の調教タイプで本数が少なかったのは標準少め併用のドリームパスポートと急仕上げトラックのヤマニンキングリーだけ。標準多めや乗込といった本数多い調教タイプが目立っているわけではありませんが、標準程度の調教本数は欲しい重賞と言えます。

 京都ダートはこれまでに比べて、スパルタおよび一杯平均系統の好走が少なくなりましたが、橿原Sを勝ったサンエムパーム(単勝580円)や3日目12Rで3着だったアグネスハッピー(複勝1610円)が一杯平均トラックだったので、馬場に大きな変化があったとは思えません。よって引き続き、これらの調教タイプを狙っていけばよいと思います。

 最後に小倉ですが、芝もダートもはっきりした傾向を掴むことができませんでした。特にダートは凍結防止剤の散布がなかったこともあり、時計の速い馬場。要するにスピード能力がある馬であれば、楽に押し切れる軽い馬場です。

 こういった場合は滞在している関東馬が連闘で出走してきて穴を出すケースがあるので、そのあたりに注意してください。


調教Gメンとは?
 調教をスポーツ科学的に分析した適性理論。それぞれのコースに必要な無酸素運動と有酸素運動の量やバランスを見極め、それに最も適した調教をしている馬を狙う馬券術。競馬新聞の調教欄に記載されている調教場所、調教本数、脚色(例:一杯)を確認するだけでOK。

調教コース&調教タイプの考え方
 調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「一杯平均坂路」に分類される。

調教コース一覧
【トラック】 ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。有酸素運動の強化。
【坂路】 坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。無酸素運動の強化。
【併用】 トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。有無酸素をバランス良く強化。
【トラック主体】 トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。有酸素運動寄り。
【坂路主体】 トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。無酸素運動寄り。

調教タイプ一覧&イメージ図
調教タイプ一覧&イメージ図

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 どのコースで何本追い切っているか、好走時、凡走時の調教過程など、過去の調教パターンを比較することで、各馬の仕上がり具合をチェックすることできます。また、直前の追い切りパターンとレース結果と参照することで、今の馬場状態では坂路調教馬が有利、もしくはコース調教馬が有利など、調教タイプでの馬券検討が可能になります。この機会に是非、調教タイムを使ったレース検討の面白さを実感してください。


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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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