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弥生賞

  • 2009年03月09日(月) 19時00分
 3戦3勝で駒を進めてきたロジユニヴァース(父ネオユニヴァース)が、期待を上回る完勝でクラシック制覇への展望を大きく広げた。2着ミッキーペトラ以下に楽々と2.1/2馬身の差をつけ、まだまだ余力たっぷりだった。

 自分でレースを先導するとは思われていなかったが、内のアーリーロブストのスタートがあまり良くなく、ほかにもハナを切りそうな伏兵がいなかった。スタートして1Fを過ぎたあたりでごく自然に先頭に立つと終始マイペース。中間地点で「13.0-13.1-13.0秒」のラップを刻めるほど楽な流れになったから、記録された数字に見るべきところはないが、2番手以下を引きつけた4コーナー手前から「11.5秒」。加速して後続を振り切ると、鞭は抜いたがあくまで見せ鞭。最後は流す余裕まであった。

 余力を残したいトライアルとすれば望外に楽な内容になったこと。札幌2歳S、ラジオNIKKEI杯2歳Sでは追い出しにかかって、ストライドのバランスが崩れるのではないかと思えるほど追いまくらないと伸びなかったことを考えると、体つきだけでなく反応もシャープになった。中山2000mで再び対戦するリーチザクラウンあたりを相手として展望する時、先行もできる自在性を示せた点など、このトライアルで得たものは大きい。

 弥生賞と皐月賞の結びつきは当然だが、無敗でこの重賞を制しやがて「ダービー」に出走した馬は、過去5頭。1973年のハイセイコーこそ3着にとどまったが、65年キーストン、72年ロングエース、84年シンボリルドルフ、05年ディープインパクト。残る4頭はみんな日本ダービーを勝っている。ロジユニヴァースは皐月賞の最有力候補になっただけでなく、皐月賞の成績にかかわらず、最大目標のダービーを展望できる立場に立てた。

 直前にこのレースを回避した馬が多かったように、ビッグレースに向けて調教がハードになれば、体調を崩したり脚部不安に見舞われる危険も大きくなるが、候補は守りには入れない。ほかの有力馬もみんな、このあとも無事に、さらにスケールアップしたい。

 2番手につけた伏兵ミッキーペトラ(父シンボリクリスエス)が、再三若さを見せてコーナーでよれたりしつつ2着。同様に、先行した馬が圧倒的に有利だった流れと、内ラチ沿いをキープした馬向きの馬場状態を利してモエレエキスパートが3着。キャリアを考えるとミッキーペトラのがんばりはこれは立派なものだが、着差と手ごたえから考えてこれで候補の1頭に浮上とまではいかないだろう。

 ロジユニヴァースの相手と思われたセイウンワンダー(父グラスワンダー)は、いったいどうしたのだろう。最後は追うのをやめてあきらめてしまったから、今回の着順、着差は基準外だが、伸びかけたのは一瞬だけ。まったくいいところなしだった。陣営も予想外だったプラス12kgの体つきに余裕はあった。そのため特に馬場入りしてから変に気負いすぎていたことは確かだが、今回は中間の調整に不安がなく、陣営の強気もうなずけた。距離が応えるようなペースでもない。もちろん巻き返して欲しいが、候補はほかにもいっぱい存在する。評価落ちは仕方がない。

 同じく人気のアーリーロブストも見せ場を作れなかった。1月の京成杯を制しているから中山2000mで先行馬が残るようなペース向きと考えられたが、行き脚がつかずに中団でもまれる形になり最後までそのまま。バブルガムフェロー産駒とあって時計のかかる馬場はむしろ有利かと思えたが、今回は元気がなかったことを考慮しても、それ以上に実は非力だったのだろう。

 ケイアイライジンは1800mぐらいまでならいいが、こういう距離になると正攻法は難しく、どうやら相手が崩れるような乱ペースになっての浮上型。流れに乗れなくてはレースが組み立てられない。ロジユニヴァースの相手はどうやら今回のメンバーではない。別のステップで皐月賞に向かうグループであることはほぼ間違いないだろう。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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