発表は良馬場でも、多少とも渋り気味。また、向正面の強い向かい風に影響された一日。このメインレースはとくに強風の中で行われたわけでもないが、中盤に「13.0秒」のラップが3回も連続している。折り合いに苦心した陣営が多く、後半「12.3−11.4−11.5秒」という上がりだけの競馬。まだ脚の残っていた馬が何頭もいたが、勝ったアンライバルドは思われていたよりずっと強かった。
ペースアップするまで行きたがるシーンもあった。道中はちょっと首が高く映る走法のためか、実は見た目ほどは行きたがってはいないのだろうが、前回の若駒Sと同じで、これで最後の追い比べで伸びるのかと思わせた。しかし、坂下にかかる「11.4秒」のラップが刻まれたところで一気に勝負を決めている。大半の馬が最速ラップを要求された地点で鮮やかに抜け出したのは、一瞬の切れ味で上回ったとか、爆発力が違ったとかではなく、明らかにいうところの「能力」上位なのだろう。粘ったレッドスパーダ、差をつめてきたフィフスペトル。さらにはサンカルロ、セイクリッドバレーあたりといくらも差があったわけではないが、抜け出す瞬間に他馬との性能の差が現れたように思える。
2着レッドスパーダの藤沢和調教師は、レースが終わった直後なのに「距離はこなせるけれど、相手が強いから…」と、皐月賞ではなくNHKマイルCに向かう路線を目指す展望を口にしたという。「エッ、そうなの…」と思ったが、これはレッドスパーダの距離適性や、ロジユニヴァース以下のこともあるだろうが、レースを終えた直後のストレートな藤沢和調教師の感覚だけに、差は少なかったとはいえアンライバルドの強さ、可能性を浮き立たせる証言のひとつかもしれない。
そのレッドスパーダ。たしかに流れに恵まれたとはいえ、ただ粘り込んだのではなくこの馬も二の脚を使って伸びている。時計勝負もOK。マイル路線の有力候補だろう。
フィフスペトルは弥生賞を回避して、リーチザクラウンでの皐月賞挑戦(ほとんど確定している)武豊騎手とのコンビでのステップレース。賞金面ではすでにクラシック挑戦はOK。いろいろ難しい乗り替わりで、まあふつうに考えれば本番で騎乗する(できる)騎手の方がこの後を展望しやすいと思えるが、そういうことは別にして、勢力図の中でどのあたりに位置する候補なのか見極める意味では、大いに参考になった気がする。小差の3着。しかし、とくに光った見せ場はなく、順当に上位に押し上げての3着で、脚を余した印象も、惜しいと思える鋭さは乏しかったように思える。同じ負けでも朝日杯FSの方が中身は鋭い。本番では2000mの距離が大きなカギになりそうである。
4着サンカルロは、右回り克服をテーマに再び舌を縛っての出走。向正面では勝ったアンライバルドとほぼ同じような位置で、同じように行きたがる素振りを見せていた。このスローだから4コーナーで馬群が固まり、狙いかけたインもスペースがなく、この馬がまだ一番脚が残っていた印象が強い。コースを変更しながら鋭く伸びている。この日、吉田豊騎手はちょっと冴えていない日だったかもしれない。賞金1350万はおそらく皐月賞のボーダーライン上だろう。距離2000mは大丈夫と思える。
7着リクエストソングはいくらも負けているわけではないが、前回はリーチザクラウンと0.6秒差。今回はアンライバルドと0.5秒差。ここ2戦の内容でだいぶ評価は下がることになる。いわれるより完成度の高く早いタイプと思われるので、さらに上積みが望めるかとなると疑問もあるが、今回のメンバーの中では、着差以上にアンライバルド(父ネオユニヴァース)の能力が他馬を圧倒していた。目安とするとツーランク(レーティングにすると3ポイントくらい)上位と思われる。
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