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トラック調教が重要な重賞

  • 2009年05月26日(火) 11時00分
 今週はいよいよ日本ダービー。行われる条件は東京芝2400mですから、先週のオークスと同じです。

 過去5年のオークスでは「標準多め」が5連勝中でしたが、今年のブエナビスタが標準トラックという調教タイプだったので、その連勝もストップしてしまいました。

 今週のダービーに関しても、過去の調教タイプの傾向が通用しない、そんな状況にならないとも限りませんが、ひとつのレース結果に左右されずに過去の調教タイプの傾向分析を続けていきたいと思います。

 ダービーに関しては競馬総合チャンネルの「今週の調教Gメン」「速報!調教Gメン」で解説しますので、今週の当コラムではダービー当日の最終レースに行われる、目黒記念の過去5年の結果を分析しながら、今年注目の調教を見つけ出したいと思います。

 まずは過去5年の1着から3着馬の調教タイプです。

2004年
1着 チャクラ(3人)/馬ナリ平均併用
2着 トレジャー(16人)/乗込併用
3着 ダービーレグノ(5人)/標準坂路

2005年
1着 オペラシチー(1人)/一杯平均トラック
2着 ウイングランツ(5人)/標準多めトラック
3着 ダディーズドリーム(7人)/一杯平均トラック

2006年
1着 ポップロック(3人)/乗込併用
2着 アイポッパー(2人)/標準併用
3着 ダディーズドリーム(12人)/標準少めトラック

2007年
1着 ポップロック(1人)/乗込併用
2着 ココナッツパンチ(4人)/乗込坂路
3着 アドマイヤフジ(6人)/標準坂路

2008年
1着 ホクトスルタン(3人)/標準トラック
2着 アルナスライン(1人)/標準多め坂路
3着 ロックドゥカンブ(2人)/標準トラック

 坂路調教馬が強い重賞が多い中、東京芝2500mで行われる目黒記念に関しては、過去5年で坂路調教馬の勝ち鞍なし、トラック調教は必要不可欠という傾向が出ています。

 東京芝2400mという条件になると坂路調教が必要不可欠なのですが、距離がたった100m延びただけで調教傾向がガラリ一変するわけです。その理由は様々考えられますが、ひとつは道中のペースが比較的速く流れるという点にありそうです。

 過去5年のレース上がりを列記してみると、

2004年 36.4秒
2005年 35.5秒
2006年 36.5秒
2007年 35.4秒
2008年 36.3秒

 ということで35秒を切るような、道中がスローに流れて上がりが速くなるレースは一度もありませんでした。よって道中をしっかり追走することができるような運動能力を鍛えているトラック調教馬にとって適性の高い流れになるというわけです。

 なかでも本数多くトラックと坂路を併用している乗込併用の成績が抜群。同一馬ポップロックの連覇があるとはいえ、[2-1-0-0]という連対率パーフェクトの成績は見逃すことができません。

 今年の特別登録馬ではミヤビランベリが今週の追い切りを坂路で馬なりで行うようであれば、乗込併用に該当するのでこの調教タイプになります。仮にCWもしくはDWのトラックで調教したとしても馬なりであれば、過去5年で出走例のない乗込トラックになるので、好走する可能性は高いと思います。

 続いて先週から開幕した中京です。

 3日目には金鯱賞が行われますが、過去5年の調教タイプから明らかな傾向というのは見えてきません。よって先週の中京芝2000mの調教タイプ傾向は重要なポイントになるかも知れません。

ちなみに先週の中京芝2000mで目立ったのが「一杯平均」の活躍。

1日目 4歳上500万下   一杯平均トラック(ヒシクローザー)
2日目 ぶっぽうそう特別  一杯平均併用(トップゾーン)

 どちらのレースも道中の流れが速くなり、直線で一気に追い込んで勝ちました。

 今年の金鯱賞は登録頭数が多く、フルゲート必至の状況。例年以上に流れが速い競馬になりそうですし、そうなれば今年の芝だと速い時計に対応できて、しかも一杯平均で無酸素運動を鍛えているような馬がベストでしょう。

 今年の中京記念をスパルタトラックのサクラオリオンが勝った点からも、金鯱賞で穴をあけるとすれば「一杯平均」もしくは「スパルタ」になりそうです。


調教Gメンとは?
 調教をスポーツ科学的に分析した適性理論。それぞれのコースに必要な無酸素運動と有酸素運動の量やバランスを見極め、それに最も適した調教をしている馬を狙う馬券術。競馬新聞の調教欄に記載されている調教場所、調教本数、脚色(例:一杯)を確認するだけでOK。

調教コース&調教タイプの考え方
 調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「一杯平均坂路」に分類される。

調教コース一覧
【トラック】 ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。有酸素運動の強化。
【坂路】 坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。無酸素運動の強化。
【併用】 トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。有無酸素をバランス良く強化。
【トラック主体】 トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。有酸素運動寄り。
【坂路主体】 トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。無酸素運動寄り。


調教タイプ一覧&イメージ図
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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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