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うらかわ馬フェスタ2009

  • 2009年07月28日(火) 23時58分
 本来ならばようやく日高も夏本番の季節…と言いたいところだが、先週も触れたように、今年の7月は例年以上に天候不順で雨ばかり降っている。果たして先週も、あいにくの空模様のまま週末を迎えた。

 25日(土)と26日(日)は、浦河のJRA日高育成牧場を会場に、「うらかわ馬フェスタ2009」が開催された。従来別々に実施されていた「シンザンフェスティバル」と「浦河競馬祭」が合体し、7月の最終土日に合わせて開催されるようになって今年で4回目である。

 土曜日、シンザンフェスティバル前夜祭が時折小雨の降るコンディションの中、午後6時より開幕した。数えて24回目となるシンザンフェスティバルは、浦河の生んだ5冠馬シンザンの功績を称え、その名前を取って馬にこだわったイベントをやろうという地元有志により昭和61年に始まった。

ミスシンザンの平野さん(右)、渡辺さん(左)

 前夜祭では、まず今年選出された第24代となるミスシンザンの2人が発表され、平野唯さんと渡辺涼子さんが壇上に上がり、お披露目された。2人は、この後町内外の様々なイベントの他、明年1月に京都競馬場で行われるシンザン記念の表彰式に出席し、プレゼンターを務める大役が待っている。

 またGI馬生産牧場表彰が続いて行われ、昨年8月から今年7月にかけて中央地方海外を含むGI馬を生産した町内の牧場を表彰した。

表彰生産牧場各氏

 バンブーエール(バンブー牧場、JBCスプリント=園田)、サクセスブロッケン(谷川牧場、フェブラリーS)、ジョーカプチーノ(ハッピーネモファーム、NHKマイルC)、エルドラド(高野牧場、シンガポールゴールドC)、ジョリーズシンジュ(丸幸小林牧場、シンガポールダービー)の5牧場である。

漣彰人アナ

 表彰式には競馬好きで知られるHTB(北海道テレビ放送=朝日系)の漣彰人アナが司会を務め、レースのVTRを見ながらそれぞれの生産者にインタビューした。

馬上結婚式、野村夫妻 馬上結婚式、吉浜夫妻


トーチで愛の火に点火

 前夜祭のメーンは馬上結婚式。全国より応募のあった中から今年選ばれたのは、野村裕樹さんと雅子さん(東京都)、そして吉浜裕元さんと桂子さん(兵庫県)の2組である。それぞれ儀礼馬車で登場したカップルは舞台の上で指輪の交換を行い、司会者に促されてキスを交わす場面などもあり、場内から盛んな声援が飛んだ。

 小雨が降ったり止んだりの空模様の下、会場ではジンギスカンとビールのカントリーパーティーを愉しむ多くの家族連れで賑わった。

 翌26日(日)は、雨予報から一転しての晴天。湿度が高かったものの雨の心配がなくなり、絶好の競馬日和となった。

 今や浦河競馬の主役は軽種馬でもトロッターでもなく実はポニーになりつつある。すでにJRAより正式発表されているように、来る11月8日(日)、東京競馬場にて「第一回ジョッキーベイビーズ」の開催が決定しており、その北海道地区予選を兼ねているのが浦河競馬祭である。

 そもそも、ジョッキーベイビーズのプランは、今年2月に遡る。JRA理事長が視察のため日高入りした際、立ち寄ったハッピーネモファームにて場主の根本明彦さんから嘆願書を手渡されたのが発端という。

 それには根本さんがかねてより温めていた、子供たちを札幌もしくは東京競馬場の芝コースで走らせたいという計画についてしたためられてあり、一読した理事長の鶴の一声で実現に向けて大きく動き出したと聞いている。

 そのプランは今年3月末あたりには噂で聞こえてきていたが、正式発表は6月末のこと。全国を4つの地区に分かち、2名ずつ計8名の子供を東京競馬場に集めることが決定した。

 対象は小学生〜中学校1年生まで。北海道からは2名選出である。なぜこの年齢に絞ったのかというと、おそらく「ベイビーズ」のイメージを保つためだろう。本職の騎手よりも体格の良いような子供では見た目があまり可愛くない? と配慮したものと推測される。その上限が中1というわけである。

 他の地区の動向は詳らかではないが、こと地元浦河に関しては、この計画が発表されてから大変な盛り上がりとなった。やはり子供たちにとっても東京競馬場芝コースというのはひのき舞台であり、一度は走ってみたいと誰しも思う。

ポニーサマーダッシュA


ポニーサマーダッシュA口取り


木村騎手(右)、広瀬騎手(左)

 その予選は「ポニーサマーダッシュA」と名付けられた直線300mで行われ、広瀬楓騎手(小6)騎乗のメルモ号が優勝。木村拓己騎手(小6)とともに東京行きの切符を手にした。

 なお、本番ではJRA馬事公苑のポニーに騎乗することになっている。こうした取り組みは、本来ならば売り上げのピークに達した1997年以前に実施されていなければならなかったと思う。それがこの11年間ずっと売り上げを落とし続けており、加えて競馬人気も低迷してきている。流石にこのままでは益々業界全体が萎んでしまうと憂慮したJRAが、将来を見据えて、生産や育成を含む競馬サークル全体の問題として、子供の頃から競馬に興味を持ってもらおうという趣旨の下に企画されたのがジョッキーベイビーズだという。

 いずれにせよ1年限りで終わらせるつもりはないようで、できる限り続けたい意向という。そのためにも第一回目は何としても成功させなければならないというのがJRA側の基本姿勢である。できることなら自馬を持ち込み、乗りなれた馬でレースに臨みたいのが子供たちの本音だろうが、輸送や検疫などの手間と費用の問題もある。4兆円売っていた時代ならば大盤振る舞いも可能だっただろうが、今の時代にそれは望めないらしい。ともあれ、11月8日は浦河から応援団を結成して東京競馬場へ遠征することになるはずだ。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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