高松宮記念は、スプリント界の新星ショウナンカンプが勝ちました。旧勢力を尻目に一気の逃げ切り、世代交代を強烈にアピールしました。短距離戦でありながら、逃げ一手では通用しなかったこのG1戦に、初めて登場した韋駄天チャンピオン、何か新しい時代を感じさせます。
オーナーの国本哲秀さんは旧知の友人、何事にも熱中される方で、20年以上も前になりますが、馬を持つのが競馬の最高の醍醐味といった話をさせてもらったところ、早速馬主さんになられた経緯があり、以後、その勉強のされ方といったら、並大抵ではありませんでした。
初めは、何とか愛馬を勝たせて口取り写真をと願っていましたが、なかなかその機会は訪れませんでした。
私どもテレビスタッフが、その初勝利の感動を取材したいとカメラで国本さんを追い掛けたことがありました。が、そう簡単なものではありません。とうとう、その瞬間をキャッチすることは出来ませんでした。
それから間もなく待望の馬主初勝利が訪れ、ショウナングレイスという牝馬がその幸運の女神です。つまり、ショウナンカンプの母です。
馬主歴17年目、重賞レースに出走させることを目標に、これまで何回かは走らせてきましたが、その初勝利がG1の舞台で達成されたというのも珍しいことです。
たまたまその日の中山1レースで、半弟のショウナンダッシュが初勝利を挙げていて、中山から中京へと2場で口取り写真におさまったのでした。これも滅多にあることではありません。
初勝利を国本さんにプレゼントしたショウナングレイス、母としても、初のG1馬をプレゼントしたことになりました。幸運はこんなかたちで訪れることもあるのです。