約2か月間続いた新潟、小倉の夏競馬が終了。それと同時に札幌開催も終了し、いよいよ夏競馬の終焉となります。
各競馬場とも芝は荒れ始めて、調教量が必要な馬場となるのが開催後半の大きな特徴ですが、その例に漏れず本数の多い調教タイプである「標準多め」が好走したのが新潟芝外回りで行われた新潟記念です。
9着までは1馬身(0.2秒差)に入る激戦ではありましたが、1着
ホッコーパドゥシャが標準多め坂路、2着
サンライズベガが標準多め併用。
新潟記念に出走した標準多めは4頭しかいなかったにも関わらず、うち2頭が連対したことを考えると、今の新潟芝外回りに非常に高い調教適性があったと考えてよいでしょう。
私自身は戦前予想の段階で「サマーシリーズ」ができた2007年以降に関西馬が馬券対象になることがなかったので、遠征疲れを危惧するあまりに「標準多め」というワードを評価することはできませんでしたが、やはり外が伸びるようになった新潟の長い直線では、非常に効果の高い調教タイプということなのでしょう。
問題はこの傾向が、今週行われる新潟2歳Sに適用できるかどうかという点ですよね。実は過去5年の新潟2歳Sに出走した標準多めの調教タイプは[0-1-0-7]という成績です。
単純に数字だけを見ると馬券には使いにくい印象がありますが、該当した8頭はすべて7番人気以下だったという背景を考えると無視できない調教タイプです。
連対した1頭が複勝1,360円の配当を演出した2008年のツクバホクトオーは標準多め坂路だった点から、同じ調教タイプで出走できそうな
シンメイフジにとっては心強い過去の調教傾向だと言えるでしょう。
もちろん古馬のレースになれば、2歳戦以上にレースの流れが厳しくなるはずなので、標準多めが大活躍してくれると思います。
同じく標準多め、特に「標準多めトラック」に注目していただきたいのが札幌2歳S。
例年より1か月ほど早い時期での開催となりますが、札幌競馬場を使用している期間は例年よりも格段に長くなっていますから、馬場が荒れていても不思議ありません。
過去の札幌2歳Sにおける標準多めトラックの成績は[2-2-1-6]で複勝率は50%。
先週、9日目に行われた芝1800mの2歳未勝利では標準多めトラックと調教本数が多いという意味で系統が同じ乗込トラックとスパルタトラックが1着、2着という結果を残しています。
未勝利戦でこのような結果になったということは、重賞になれば、より一層の運動量が必要になる可能性は大きくなりますから、標準多めトラックを中心とした調教本数の多い乗込トラック、スパルタトラックにも高い評価を与えるべき2歳重賞となりそうです。
最後に小倉ですが、こちらも「標準多め」と言いたいところですが、先週の結果ではそれを言い切ることができません。
ローラーをかけた効果もあったのか、やたらと逃げた馬が残る展開で、しかも調教本数が少ない「標準少め」でも勝ったり、連対したりという結果でした。
最終開催日ですから、標準多めに注目するつもりですが、新潟や札幌ほど強く推せない読みにくい馬場だという具合にまとめさせていただきます。
調教Gメンとは?
調教をスポーツ科学的に分析した適性理論。それぞれのコースに必要な無酸素運動と有酸素運動の量やバランスを見極め、それに最も適した調教をしている馬を狙う馬券術。競馬新聞の調教欄に記載されている調教場所、調教本数、脚色(例:一杯)を確認するだけでOK。
調教コース&調教タイプの考え方
調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「
一杯平均坂路」に分類される。
調教コース一覧
【トラック】 ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。有酸素運動の強化。
【坂路】 坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。無酸素運動の強化。
【併用】 トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。有無酸素をバランス良く強化。
【トラック主体】 トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。有酸素運動寄り。
【坂路主体】 トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。無酸素運動寄り。
調教タイプ一覧&イメージ図
netkeiba.comプレミアサービスはJRA全レースの調教を公開中! どのコースで何本追い切っているか、好走時、凡走時の調教過程など、過去の調教パターンを比較することで、各馬の仕上がり具合をチェックすることできます。また、直前の追い切りパターンとレース結果と参照することで、今の馬場状態では坂路調教馬が有利、もしくはコース調教馬が有利など、調教タイプでの馬券検討が可能になります。この機会に是非、調教タイムを使ったレース検討の面白さを実感してください。