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過去2年とは違う調教傾向

  • 2009年09月29日(火) 14時00分
 まず先週の当コラムでタイトルにもさせていただいた中山芝2200mへのリベンジ。マツリダゴッホの完勝により、無事果たすことができました。

 競馬総合チャンネルの「速報!調教Gメン」の注目データとして取り上げたように、これで中山芝2200m重賞における「調教本数が多いP追い」の成績は[2-1-1-1]となりました。年間3レースしかない重賞ですが、確実に使える鉄板調教データであることは間違いありません。

 そして今まで「P追い」は美浦の特権でしたが、今秋からは栗東でもポリトラック追いの馬が出走することになります。

 これまで中山芝2200m重賞ではなかなか勝つことができなかった栗東所属馬も、ポリトラック導入により、一気の形勢逆転の可能性が出てきました。

 栗東に新設されたポリトラックについては追い切りの様子などを見て、またレポートしたいと思いますが、単純に調教データとして見た場合に、これまでP追いが活躍していたレースでは同じように好走できると考えた方がよいでしょうね。

 さて今週は中山芝1200mで行われるスプリンターズSです。

 スリープレスナイトの回避により、より注目を集めそうなのはアルティマトゥーレでしょう。

 前走内容から間違いなく強い一頭だと思いますが、調教適性は決して高いとは思いません。このあたりについては競馬総合チャンネルの「今週の調教Gメン」でじっくり取り上げたいと思います。

 ここでは土曜日に行われる重賞、シリウスSについて分析してみましょう。まず、阪神ダート2000mで行われた過去2年の1〜3着馬の調教タイプです。

2007年
1着 ドラゴンファイヤー(1人)/軽目トラック
2着 ラッキーブレイク(5人)/標準坂路
3着 ワンダースピード(6人)/標準併用

2008年
1着 マイネルアワグラス(6人)/馬ナリ平均トラック
2着 ワンダースピード(1人)/一杯平均併用
3着 ダークメッセージ(4人)/標準トラック

 2年という傾向分析には少々物足りないデータではありますが、過去2年がトラック系の関東馬が勝利。この結果から、阪神ダート特有の一杯平均系統の坂路調教はそこまで有効でないことが分かります。

 2007年に標準併用だったワンダースピードが一杯平均併用に調教タイプを強化しても2着止まりだったあたりがそれを物語っています。

 またマイネルアワグラスが馬ナリ平均トラックで勝利、そして同じ年に15番人気のマイネルマニセスが一杯平均トラックで6着でした。

 2頭の共通点は「P追い」だったので、このレースにおける重要な調教適性は追い切りで見せるスピードにあるかも知れません。

 今年の出走予定馬の中にP追いで仕上げてきそうな馬がいればよいのですが、現在のところ、過去の調教内容から注目馬として挙げることができる馬はいません。

 こうなってくると今年の4回阪神に行われた1000万下のハンデ戦だった鳥取特別を参考にするしかありません。

 このレースは一杯平均坂路、急仕上げ坂路、一杯平均坂路が1〜3着を占めたレース。つまり前述した「一杯平均系統の坂路調教はそこまで有効でない」ということが覆されます。

 ですから「P追い」が出走してくるようであれば、過去のシリウスSの調教傾向を重視して評価すべきですが、いない場合には鳥取特別のような一杯平均系統の坂路調教が上位を独占することも十分考えられるでしょう。


調教Gメンとは?
 調教をスポーツ科学的に分析した適性理論。それぞれのコースに必要な無酸素運動と有酸素運動の量やバランスを見極め、それに最も適した調教をしている馬を狙う馬券術。競馬新聞の調教欄に記載されている調教場所、調教本数、脚色(例:一杯)を確認するだけでOK。

調教コース&調教タイプの考え方
 調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「一杯平均坂路」に分類される。

調教コース一覧
【トラック】 ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。有酸素運動の強化。
【坂路】 坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。無酸素運動の強化。
【併用】 トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。有無酸素をバランス良く強化。
【トラック主体】 トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。有酸素運動寄り。
【坂路主体】 トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。無酸素運動寄り。


調教タイプ一覧&イメージ図
調教タイプ一覧&イメージ図

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 どのコースで何本追い切っているか、好走時、凡走時の調教過程など、過去の調教パターンを比較することで、各馬の仕上がり具合をチェックすることできます。また、直前の追い切りパターンとレース結果と参照することで、今の馬場状態では坂路調教馬が有利、もしくはコース調教馬が有利など、調教タイプでの馬券検討が可能になります。この機会に是非、調教タイムを使ったレース検討の面白さを実感してください。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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