10月2日から開場された栗東トレーニングセンターのポリトラック馬場ですが、10月7日の調教から本格的に追い切りとして利用されるようになりました。
その様子を見て実感したのは「美浦ほど時計が出る馬場ではないのかな?」ということでした。
美浦の場合、5F65秒を切って標準の時計でしたが、栗東で65秒を切ってくるような馬はそうそうおらず、速くて65秒台という時計でした。
時計の出方は以前のDWよりは速いものの、CWとほぼ同じくらいかなという印象を持っています。よって先週の追い切りを見た感じで暫定的に設定したDポリトラックの基準時計は、82.5-67.0-52.0-37.5-13.0秒にしました。
美浦との比較で5Fが2秒も遅くなるのはなぜでしょう?
「先週は天候が悪く馬場が重かったのでは?」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、ポリトラック馬場は全天候型というくらいですから、ウッドチップのように雨が降ったからと言って馬場が重くなり、時計が出にくくなることは考えにくいと思います。
そこで佐々木晶三調教師が話してくださったのは下地の違い。
「美浦は一番下の層にコンクリートを敷いているけど、栗東は砂利だからそのクッション性の違いで時計が掛かるんじゃないかな」と教えてもらい、納得しました。
また調教に跨る助手の話では「時計が出る馬場ってことを分かっているから用心して乗っているんじゃないかな」という声もあり、この意見にも納得させられました。
確かに日が経つにつれて、ラスト1Fが12秒を切るような馬も出ているので、調教に跨るたびに、負荷の掛け具合に慣れてきたのかも知れません。
では実際の競馬でポリトラック追いの成績がどうだったのかを見てみましょう。
先週のレースにおいてポリトラックで最終追い切りされた馬は29頭。その内訳成績は[1-1-2-25]と勝率や連対率は非常に低いものでした。ただし複勝回収率は140%と非常に高い数字を残しています。
この回収率に貢献したのが京都ダート1200mの未勝利戦で3着複勝3,300円だった
フリークヒロインです。
また勝ったのは京都ダート1400mの新馬戦の
アイアムルビーだったので、まずはダートのレースで結果を出した印象があります。
しかしポリトラック追いの効果はこれだけではないかも知れません。
写真を見ていただいて分かるように、栗東のトラック馬場も火曜日と日曜日には左回りになります。
ひょっとするとコーナーをゆったり回ることができる左回りの栗東ポリトラックは東京芝にすごく高い適性を発揮するのではないかと思っています。
ちなみに今週行われる東京芝に出走予定で、10月11日の日曜日に栗東ポリトラックで時計を出した馬はアイルランドTに登録している
ドリームフライトと
バトルバニヤンがいます。
どちらも前走惨敗組ですが、ポリトラック追いが大きな変わり身をもたらす可能性は十分に秘めていると思います。
調教Gメンとは?
調教をスポーツ科学的に分析した適性理論。それぞれのコースに必要な無酸素運動と有酸素運動の量やバランスを見極め、それに最も適した調教をしている馬を狙う馬券術。競馬新聞の調教欄に記載されている調教場所、調教本数、脚色(例:一杯)を確認するだけでOK。
調教コース&調教タイプの考え方
調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「
一杯平均坂路」に分類される。
調教コース一覧
【トラック】 ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。有酸素運動の強化。
【坂路】 坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。無酸素運動の強化。
【併用】 トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。有無酸素をバランス良く強化。
【トラック主体】 トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。有酸素運動寄り。
【坂路主体】 トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。無酸素運動寄り。
調教タイプ一覧&イメージ図
netkeiba.comプレミアサービスはJRA全レースの調教を公開中! どのコースで何本追い切っているか、好走時、凡走時の調教過程など、過去の調教パターンを比較することで、各馬の仕上がり具合をチェックすることできます。また、直前の追い切りパターンとレース結果と参照することで、今の馬場状態では坂路調教馬が有利、もしくはコース調教馬が有利など、調教タイプでの馬券検討が可能になります。この機会に是非、調教タイムを使ったレース検討の面白さを実感してください。