すでに開場されてから3週間が過ぎようとしている栗東トレーニングセンターのポリトラック馬場。
GIシーズンということもあり、開場当初に比べるとポリトラックを取り上げた記事を見かけることはめっきり少なくなりました。しかしながら新設されたという話題性だけでなく「今のうちにしっかり儲けておきたい」、それがポリトラック調教ではないかと思います。
まず先週の成績を見てみましょう。
最終追い切りをポリトラックで行った馬は東京に出走した馬も含めて計35頭。内訳は[6-2-4-23]で勝率は17%。勝率、連対率、複勝率、どれをとっても先週とは比べ物にならないくらい数字が良くなっています。もちろん単勝回収率193%、複勝回収率117%と配当的な妙味も十分ある結果になっています。
例えば京都4日目の1R2歳未勝利に出走した
ハンターワディ。
前走新馬戦で12着と惨敗したことが7番人気という低評価になった要因だと思いますが、ポリトラックの追い切りでは6F81.1秒と水準を上回る全体時計を出しており、最後の1Fも12.3秒としっかり伸びていました。
私はこの追い切りを見た瞬間に「未勝利でこの時計で動けるようだと即勝ち負け」と感じましたが、一般的にポリトラックでどのくらいの時計が出るかが把握されていないので、この時計でも人気にならなかったのだと思います。
またダートが合うか合わないかということもありましたが、ポリトラックでこれだけ動けるのであれば、時計が速い京都ダートは適性が高いだろうという予測も立ちました。
ハンターワディと同じように「芝からダートの転戦」というカテゴリーでは東京ダート1600mで行われた秋嶺Sで
ダノンカモンが勝っており、初ダートの馬がポリトラック追いすれば買いという指標をつくってくれました。
そしてハンターワディを追走して、馬なりの手応えで同入していたのが新馬勝ちした
ダノンスパシーバです。
こちらは調教の動きから「将来重賞で勝ち負けする馬」と思っていましたが、その期待にしっかり応える強い勝ち方をしてくれました。
レースの直線では前が壁になっていましたが、ジョッキーの冷静な判断もあり、僅かな隙間が空くと見事な瞬発力で前を捕まえる内容。レースの最後1Fのラップが11.3秒だったところをあれだけ突き放す勝ち方ができるんですから、スピード能力は相当高いと思います。
だからこそポリトラックを馬なりで6F80.5秒という驚異的な時計を出すことができたのでしょう。
今の時計の速い東京も含めた京都芝、京都ダートではポリトラックの攻勢は続くと思われます。ただしポリトラック追いも凍結防止剤を撒いた重いダートでは思うように好走できませんし、直線坂のある中山、阪神、そして馬場が荒れてくるとスピード能力を発揮できません。
だからこそ、特に馬場が良い4回東京、京都が馬券の狙い時。特にスピード能力が勝敗を分ける2歳戦には重要な意味を持ちそうです。
調教Gメンとは?
調教をスポーツ科学的に分析した適性理論。それぞれのコースに必要な無酸素運動と有酸素運動の量やバランスを見極め、それに最も適した調教をしている馬を狙う馬券術。競馬新聞の調教欄に記載されている調教場所、調教本数、脚色(例:一杯)を確認するだけでOK。
調教コース&調教タイプの考え方
調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「
一杯平均坂路」に分類される。
調教コース一覧
【トラック】 ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。有酸素運動の強化。
【坂路】 坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。無酸素運動の強化。
【併用】 トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。有無酸素をバランス良く強化。
【トラック主体】 トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。有酸素運動寄り。
【坂路主体】 トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。無酸素運動寄り。
調教タイプ一覧&イメージ図
netkeiba.comプレミアサービスはJRA全レースの調教を公開中! どのコースで何本追い切っているか、好走時、凡走時の調教過程など、過去の調教パターンを比較することで、各馬の仕上がり具合をチェックすることできます。また、直前の追い切りパターンとレース結果と参照することで、今の馬場状態では坂路調教馬が有利、もしくはコース調教馬が有利など、調教タイプでの馬券検討が可能になります。この機会に是非、調教タイムを使ったレース検討の面白さを実感してください。