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ポリトラックは根気強く

  • 2009年10月27日(火) 12時00分
 早速、回顧してみたいのが先週の当コラムで取り上げていた「ポリトラック追い馬の成績」です。

 先週は27頭の該当馬がいましたが、その成績は[1-2-2-22]と単勝回収率の44%を筆頭に、先々週の成績と比べるとすべての数字を下げる結果となってしまいました。

 ただ数字の下げ幅ほど、私自身の感覚としてポリトラック追いが走らなかったという印象はありません。

 個人的な馬券で言えば、唯一の勝ち馬だったショウリュウアクトの単勝(1,200円)は持っていましたし、京都芝1400mの新馬戦で、レース内容は勝ちに等しかった8番人気サウンドバリアーの複勝(460円)も持っていました。

 この馬が最後の直線もしっかり走ってくれれば、先週の単勝回収率も大幅にプラスだったことを考えれば、まさに紙一重の結果だと思います。ですから先週のコラムにも書いたように、ここしばらくは週単位の成績の上下に一喜一憂せずに狙い続けていきましょう。

 さてその「ポリトラックつながり」で美浦のポリトラック追いが好走している条件があります。それが福島芝1200mです。

 福島は他の競馬場の芝1200mと違ってトラック調教馬が好走しやすいコース形状になっています。そんなこともあって、馬場が良い開幕週は特にポリトラック追いが好走しやすい状況になります。

 先週の福島民友Cでは11番人気のサクラミモザがポリトラック追いで3着、複勝1,050円という波乱を演じています。また新馬戦ではホッカイレシフェが単勝2,090円の差し切り勝ち。この馬の走りで先週の福島芝1200mにおけるポリトラック追いの単勝回収率は100%を超えました。

 馬場が荒れやすい福島芝はすぐにポリトラック追いの旬が終わってしまいますが、先週までの傾向から全体の調教量を標準以上、調教タイプでいえば、馬ナリ平均、標準、乗込、標準多め、スパルタのポリトラック追いであれば、今週末の競馬でも好走を見せてくれそうです。

 最後になりましたが、週末に行われる重賞についても触れておきましょう。

 天皇賞・秋は競馬総合チャンネルの「今週の調教Gメン」で取り上げるとして、土曜日に京都芝1400mで行われるスワンSを見てみましょう。

◆スワンSの過去3年成績◆

2006年
1着 プリサイスマシーン(14人)/標準少めトラック
2着 シンボリグラン(8人)/標準多め併用
3着 アグネスラズベリ(3人)/標準トラック

2007年
1着 スーパーホーネット(3人)/標準多め坂路
2着 フサイチリシャール(10人)/標準坂路主体
3着 ドラゴンウェルズ(5人)/標準坂路

2008年
1着 マイネルレーニア(5人)/急仕上げトラック
2着 ローレルゲレイロ(3人)/標準多め坂路
3着 ジョリーダンス(8人)/標準多め併用

 過去成績を見ると、3年のうち2年が本数の少ないトラック調教馬が勝っているため、運動量が必要ないレースという印象があるかも知れません。

 しかしながら京都芝外回りで行われるスワンSは基本的には運動量が必要になるレースです。長期休養明けの馬が好走できなかったこのレースですが、7か月ぶりのローレルゲレイロが標準多め坂路に仕上げると強い内容の2着に好走できたのですから、やはり調教本数がこのレースでの適性を上げると見てよいでしょう。

 今年の出走予定馬の中で最も調教適性が合致しそうなのはスズカコーズウェイ

 調教量が物足りなかった前走セントウルSを0.7秒差の6着と反動の出ない走りで終えており、前走後はすぐに坂路で時計を出し始めており、その本数はすでに二桁に乗っています。

 58kgという斤量を全く問題にしない走りができるだけの調教適性の高さを見せてくれるはずです。


調教Gメンとは?
 調教をスポーツ科学的に分析した適性理論。それぞれのコースに必要な無酸素運動と有酸素運動の量やバランスを見極め、それに最も適した調教をしている馬を狙う馬券術。競馬新聞の調教欄に記載されている調教場所、調教本数、脚色(例:一杯)を確認するだけでOK。

調教コース&調教タイプの考え方
 調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「一杯平均坂路」に分類される。

調教コース一覧
【トラック】 ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。有酸素運動の強化。
【坂路】 坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。無酸素運動の強化。
【併用】 トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。有無酸素をバランス良く強化。
【トラック主体】 トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。有酸素運動寄り。
【坂路主体】 トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。無酸素運動寄り。


調教タイプ一覧&イメージ図
調教タイプ一覧&イメージ図

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 どのコースで何本追い切っているか、好走時、凡走時の調教過程など、過去の調教パターンを比較することで、各馬の仕上がり具合をチェックすることできます。また、直前の追い切りパターンとレース結果と参照することで、今の馬場状態では坂路調教馬が有利、もしくはコース調教馬が有利など、調教タイプでの馬券検討が可能になります。この機会に是非、調教タイムを使ったレース検討の面白さを実感してください。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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