10月13日に更新した
当コラムにこんな記述をしたことを覚えていただいているでしょうか?
「栗東のトラック馬場も火曜日と日曜日には左回りになります。ひょっとするとコーナーをゆったり回ることができる左回りの栗東ポリトラックは東京芝にすごく高い適性を発揮するのではないかと思っています。」
このコラムを更新した週末のレースの
アイルランドTでは結果が出ませんでしたが、先週の
天皇賞秋では日曜左回りのポリトラックで時計を出した
カンパニーが悲願のGI制覇を成し遂げました。
同じ音無厩舎所属の
オウケンブルースリも左回りのポリトラックで時計を出しており、レースでは直線壁になる不利がありながら4着に好走しています。
この件に関しては、先週末更新した「速報!調教Gメン」(
競馬総合チャンネル)でも今後注目する調教データになるだろうということで先取り発表していました。
そこでも書きましたが、先週中間の時点で音無調教師に「左回りのポリトラックで時計を出したのは、左回りの東京芝を意識してのことですか?」と聞いたところ、「左回りの東京を使う時は日曜は左回りになるトラック馬場で乗っていた」と返ってきました。
つまり調教師も東京競馬場のスパーリング的な意味合いで左回りのポリトラックで時計を出したわけです。
実は昨年の
天皇賞秋でもカンパニーは日曜に左回りになるCWで時計を出していましたが、結果は4着でした。
しかし今年はあれだけ強い競馬ができたのですから、ポリトラックの存在が役立ったと考えても不思議ではありません。
馬券にこそなっていませんが、先週の土曜日に東京ダート2100mで行われた
ブラジルCにも日曜左回りのポリトラックで時計を出した馬に注目していました。
それに該当していた
メイショウサライはブラジルCの前走となるシリウスSでは気の悪さから調教すらできていませんでした。
ところがポリトラック馬場ができてからは調教時計を出すことができるほど改善が見られ、左回りのポリトラックでも時計を出すことができ、最終追い切りは坂路でしっかりと追われていました。
調教できなかった馬が調教できるようになったこと、左回りのポリトラックでスパーリング効果があったことから大きな期待をかけましたが、結果は5着に終わりました。
馬券圏内に入ることはできませんでしたが、ポリトラックが良い効果を与えて好走に繋がったことは間違いありません。
ですから東京競馬に出走している関西馬は一週前の日曜日にポリトラックで時計を出しているかどうかを注目してみてください。
今週末行われるアルゼンチン共和国杯では藤原英昭厩舎の
エアジパングと
トーホウアランが11月1日のポリトラックで時計を出しています。
エアジパングは間隔があいた割には調教本数が少ないため、その視点から見た調教適性が低いと思いますが、トーホウアランに関しては中3週で十分な調教本数を消化していますから、前走からの巻き返しがあっても不思議ないと思います。
調教Gメンとは?
調教をスポーツ科学的に分析した適性理論。それぞれのコースに必要な無酸素運動と有酸素運動の量やバランスを見極め、それに最も適した調教をしている馬を狙う馬券術。競馬新聞の調教欄に記載されている調教場所、調教本数、脚色(例:一杯)を確認するだけでOK。
調教コース&調教タイプの考え方
調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「
一杯平均坂路」に分類される。
調教コース一覧
【トラック】 ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。有酸素運動の強化。
【坂路】 坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。無酸素運動の強化。
【併用】 トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。有無酸素をバランス良く強化。
【トラック主体】 トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。有酸素運動寄り。
【坂路主体】 トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。無酸素運動寄り。
調教タイプ一覧&イメージ図
netkeiba.comプレミアサービスはJRA全レースの調教を公開中! どのコースで何本追い切っているか、好走時、凡走時の調教過程など、過去の調教パターンを比較することで、各馬の仕上がり具合をチェックすることできます。また、直前の追い切りパターンとレース結果と参照することで、今の馬場状態では坂路調教馬が有利、もしくはコース調教馬が有利など、調教タイプでの馬券検討が可能になります。この機会に是非、調教タイムを使ったレース検討の面白さを実感してください。