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スピード重視な東京芝1400m

  • 2009年11月10日(火) 18時00分
 先週の当コラム「日曜の左回りのP追い」で強調したアルゼンチン共和国杯のトーホウアランでしたが、結果は9着に終わってしまいました。

 残念ではありますが、常にデータ通りにならないのも競馬。馬券的中という結果こそ出ませんでしたが、トーホウアランの走り自体は以前に東京競馬場で走った時よりもスムーズに映りましたし、その効果があったと考えたいと思います。

 ですからこの結果だけに囚われず、今後の東京芝重賞でも「日曜の左回りのP追い」には注目し続けたいと思います。

 もちろん今週行われる京王杯2歳Sにも該当馬の出走があれば注目したかったのですが、残念ながらありません。

 では京王杯2歳Sが行われる東京芝1400mとはどのような調教を行った馬に適性が高いコースなのでしょうか?

 新書「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ 馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」の東京芝1400mのページには以下のように記しました。

『スタートして下り上りのアップダウンがあるので、ダート1300mと非常に似た形状ではありますが、コーナーの入りがゆったりしているため、あまり激しいペースにはなりません。よって先行することに長けたスピード系の調教をこなしているような馬の先行押し切りは珍しくありません。

 スピード系の調教とは芝コースで追い切った馬のことで、2008年京王杯2歳Sのゲットフルマークス(単6190円)がそれに該当します。また坂路追い切りで馬なりながら好時計をマークするようなタイセイハニー(単4260円)のような追い切りにも注目です。』

 ワンフレーズで言うと「スピード調教」が重要な東京芝1400mです。

 実際、私が東京芝1400mで馬券を買う際も、まず出走メンバーの中で最も速い坂路4Fをマークした馬に注目します。

 先日10月18日に行われた2歳牝馬限定戦のサフラン賞

 出走メンバーの中で最も速い坂路4Fをマークしていたのがシーズバレンタインでした。

 しかも馬なりで4F50.4秒ですから、上記タイセイハニーに非常に似た調教パターンだったのです。結果的に勝つことはできませんでしたが、3着で複勝610円と好配当を出しています。

 昨年の京王杯2歳Sで坂路で速い時計をマークして連対したフィフスペトルは4F52.6秒で美浦坂路追いの中では最速でした。

 この「52.6」自体は決して速い数字ではありませんが、ラスト1Fが12.2秒。馬なりでありながら、ラスト1Fで12.0秒を切ろうかという数字を出している馬も非常にスピード能力が高いと言えます。

 この例としては先週の3歳上1000万下を勝ったドリームスカイラブを挙げることができます。この馬は4Fこそ55.9秒と速くありませんでしたが、ラスト1Fは11.9秒。もちろん馬なりです。

 そして上記にあるように、昨年の京王杯2歳Sを勝ったゲットフルマークスのような芝で速い時計で追われていることも坂路で速い時計をマークのと同じ調教価値があります。芝に近い下地という意味ではポリトラックで速い時計を出していることも東京芝1400mにおいて高い適性を発揮することになるでしょう。

 坂路、芝、ポリトラック。スピード系統の調教馬場という共通点に加えて、更に重要なのはどの馬に関しても「馬なり」だったことです。

 追うことなく速い時計を出せる、これが東京芝1400mでは重要なのです。

 現時点ではこれにピタリ該当しそうなのはノーワンエルス

 中7週の間隔の割には少ない調教本数が気にはなりますが、前走時の追い切りが4F50.8秒-1F11.9秒を馬なりで出しており、東京芝1400mには文句ないスピード調教をこなしています。1週前追い切りでも4F50.7秒-1F12.1秒を馬なりで出していますから、今週の追い切りもこの数字に近い時計をマークしてくれば、最も調教適性が高い馬と言えます。

 最後に「厩舎適性」という意味でこのレースに向いているのが西園正都厩舎。

 2006年から3頭連続で出走させており、1着、2着、3着と複勝率はパーフェクト。東京芝1400mという条件に広げても2006年以降で[4-1-3-4]で単回収182%、複回収191%と抜群の適性を見せています。よってコスモセンサーも馬券的には非常に重要な存在になろうかと思います。


調教Gメンとは?
 調教をスポーツ科学的に分析した適性理論。それぞれのコースに必要な無酸素運動と有酸素運動の量やバランスを見極め、それに最も適した調教をしている馬を狙う馬券術。競馬新聞の調教欄に記載されている調教場所、調教本数、脚色(例:一杯)を確認するだけでOK。

調教コース&調教タイプの考え方
 調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「一杯平均坂路」に分類される。

調教コース一覧
【トラック】 ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。有酸素運動の強化。
【坂路】 坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。無酸素運動の強化。
【併用】 トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。有無酸素をバランス良く強化。
【トラック主体】 トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。有酸素運動寄り。
【坂路主体】 トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。無酸素運動寄り。


調教タイプ一覧&イメージ図
調教タイプ一覧&イメージ図

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 どのコースで何本追い切っているか、好走時、凡走時の調教過程など、過去の調教パターンを比較することで、各馬の仕上がり具合をチェックすることできます。また、直前の追い切りパターンとレース結果と参照することで、今の馬場状態では坂路調教馬が有利、もしくはコース調教馬が有利など、調教タイプでの馬券検討が可能になります。この機会に是非、調教タイムを使ったレース検討の面白さを実感してください。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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