今週は東京で行われる2歳重賞と福島最終週に行われるハンデ重賞の調教適性について見ていきましょう。まずは、東京芝1800mで行われる東京スポーツ杯2歳Sです。
この重賞に関しては過去の当コラムでも触れたことがありますが、昨年はポリトラック追いのナカヤマフェスタが勝ちました。
実は東スポ杯だけでなく、3歳限定重賞の同じ東京芝1800mで行われる共同通信杯も含めて、ポリトラックが新設されては2008年共同通信杯以降、ポリトラック追いが3連勝中の重賞なのです。
好走が考えられる理由としては、東京芝1800mのコース形状が美浦ポリトラックに似ていて、追い切りがスパーリング効果を生んで勝因となっていると思います。ですから、今年の東スポ杯も美浦ポリトラック追いが勝つ可能性が非常に高いと思っていました。
それが先週の東京芝1800mのノベンバーSを勝ったチョウカイファイトの存在で、栗東ポリトラックにも警戒が必要だと感じました。
このレースの後半3Fは34.7秒、そしてチョウカイファイトの後半推定3Fは34.0秒でした。つまり、最後の直線で速い脚を使う必要がある、それには「ポリトラック」という軽い下地で追われてスピードある追い切りを行っていることが高い調教適性になっているのではないかと思うのです。
また、先週のオーロCでは「日曜左回り」の栗東ポリトラックで追い切りを行っていたアイアムカミノマゴが古馬との初対戦ながら快勝しました。
これら先週の結果を併せて考えると、今後の東京芝1800m2歳3歳限定重賞は栗東ポリトラックも十分勝ち負けする可能性があるでしょう。
残念ながら、今年の東スポ杯に特別登録している栗東所属馬には11月15日にポリトラックで時計を出した馬はいません。ですから、現状では美浦ポリトラックで最終追い切りを行って馬が上位、その次には栗東ポリトラックで追い切った馬という評価になるでしょう。
続いては、最終週の福島で行われる福島記念。このレースに参考になりそうなのが、先週8日目の最終レースに行われた伊達特別。その結果と調教タイプを列記してみると、
・1着オカゲサマデ(9番人気)/標準坂路
・2着ヴィーヴァミラコロ(3番人気)/標準多め坂路
・3着ピースキーパー(5番人気)/標準多め坂路
ご覧のように上位を独占したのは坂路調教でした。ちなみに1番人気はモエレビクトリーでしたが、馬ナリ平均トラックという軽い調教タイプだったため12着と惨敗しています。
これに、昨年の福島記念の結果と調教タイプを照らし合わせてみましょう。
・1着マンハッタンスカイ(7番人気)/乗込坂路
・2着マイネルキッツ(3番人気)/標準坂路主体
・3着グラスボンバー(14番人気)/乗込坂路
共通しているのは「坂路で本数多い」調教です。馬場状態が良い開幕週はトラック調教馬が立ち回りの巧さを活かして好走するのが、福島芝2000mの調教傾向ですが、馬場が荒れてくると坂路で本数多い馬のパワーが優先される傾向があります。
先週の時点で坂路調教馬、特に本数多い馬の好走が見られたのですから、最終日に行われる福島記念は「坂路で本数多く」をキーワードに軸を探すのがベストでしょう。
特別登録に名前のあるところでは
トウショウシロッコが坂路で本数多い調教を行っており、好走しても不思議ない調教過程です。
調教Gメンとは?
調教をスポーツ科学的に分析した適性理論。それぞれのコースに必要な無酸素運動と有酸素運動の量やバランスを見極め、それに最も適した調教をしている馬を狙う馬券術。競馬新聞の調教欄に記載されている調教場所、調教本数、脚色(例:一杯)を確認するだけでOK。
調教コース&調教タイプの考え方
調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「
一杯平均坂路」に分類される。
調教コース一覧
【トラック】 ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。有酸素運動の強化。
【坂路】 坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。無酸素運動の強化。
【併用】 トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。有無酸素をバランス良く強化。
【トラック主体】 トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。有酸素運動寄り。
【坂路主体】 トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。無酸素運動寄り。
調教タイプ一覧&イメージ図
netkeiba.comプレミアサービスはJRA全レースの調教を公開中! どのコースで何本追い切っているか、好走時、凡走時の調教過程など、過去の調教パターンを比較することで、各馬の仕上がり具合をチェックすることできます。また、直前の追い切りパターンとレース結果と参照することで、今の馬場状態では坂路調教馬が有利、もしくはコース調教馬が有利など、調教タイプでの馬券検討が可能になります。この機会に是非、調教タイムを使ったレース検討の面白さを実感してください。