先週のジャパンカップはウオッカとオウケンブルースリがゴール前でハナ差の接戦を演じましたが、どちらも競馬総合チャンネルの「速報！調教Gメン」で取り上げていた『左回り栗東ポリトラック追い』に該当していました。

　これで2009年秋の東京GIにおける該当調教パターンの成績は[2-1-0-1]となり、単複ともに回収率が大幅に100％を超える結果となりました。

　気の早い話になりますが、前年の天皇賞・秋、ジャパンカップに出走していた馬が左回りのポリトラック追いを新たに取り入れることで勝利したという結果は、来年の両GIにおいて非常に大切な調教ポイントになるのではないでしょう。

　さて、今週からは2009年の競馬を締めくくるべく、中山と阪神の開催がスタートします。当コラムでは開幕初日に行われる両重賞に目を向けたいと思います。

　2004年までの過去5年において、坂路調教馬は2004年のダイタクバートラム(標準坂路)の1勝、3着以内と条件を広げても2006年の2着トウカイトリック(一杯平均坂路)しかいないという坂路調教馬が珍しく苦戦するのがステイヤーズSです。

　中山の内回りを2周、直線の坂越えは3度あるだけに、内回りをしっかりとコーナーリングするためのトラック調教と坂越えのための坂路調教、これを合わせた併用調教が最もこのレースに適性が高いと言ってよいでしょう。

　実際の結果としても2004年に13番人気テイエムジェネラスが標準併用で3着、2008年に11番人気トウカイエリートが標準多め併用で3着と、併用調教を武器に激走しています。

　この調教条件に該当しそうな出走予定馬が、今春の目黒記念を惨敗して以来の出走となるポップロック。今週の調教を坂路とCWで時計を出せば標準多め併用に仕上がるので、文句ない調教タイプになります。


　続いて阪神芝1800mの外回りという条件になってから4年目を迎える鳴尾記念。まずは過去3年の1〜3着馬の調教タイプを振り返ってみましょう。

・2006年
1着 サクラメガワンダー(1人)／標準多め坂路
2着 マルカシェンク(2人)／急仕上げトラック
3着 ホッコーソレソレー(3人)／標準坂路

・2007年
1着 ハイアーゲーム(8人)／標準多め坂路
2着 エイシンデピュティ(3人)／標準多め坂路
3着 アドマイヤフジ(5人)／標準坂路
3着 アドマイヤオーラ(4人)／標準トラック主体
※3着は同着

・2008年
1着 サクラメガワンダー(1人)／標準多め坂路
2着 ナムラマース(3人)／標準併用
3着 ドリームガードナー(13人)／標準多め併用

　ご覧の通り、勝ち馬はすべて「標準多め坂路」です。これは坂のある長い直線で叩き合いになる芝外回りに施行条件が替わったことで、顕著な調教タイプの傾向が出ていると思います。

　なにより6番人気以下で馬券に絡んだ馬が2頭いて、その2頭がともに「標準多め」だった点から調教量の豊富さが馬券の穴になる可能性は十分です。

　今年の出走予定馬で言えば、2007年の覇者ハイアーゲームが当時と同じ標準多め坂路で出走してくる可能性が大きいので、一年越しの連覇という可能性も十分あるでしょう。


調教Gメンとは？
　調教をスポーツ科学的に分析した適性理論。それぞれのコースに必要な無酸素運動と有酸素運動の量やバランスを見極め、それに最も適した調教をしている馬を狙う馬券術。競馬新聞の調教欄に記載されている調教場所、調教本数、脚色(例：一杯)を確認するだけでOK。

調教コース＆調教タイプの考え方
　調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「一杯平均坂路」に分類される。

調教コース一覧
【トラック】　ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。有酸素運動の強化。
【坂路】　坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。無酸素運動の強化。
【併用】　トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。有無酸素をバランス良く強化。
【トラック主体】　トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。有酸素運動寄り。
【坂路主体】　トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。無酸素運動寄り。


調教タイプ一覧＆イメージ図

netkeiba.comプレミアサービスはJRA全レースの調教を公開中！
　どのコースで何本追い切っているか、好走時、凡走時の調教過程など、過去の調教パターンを比較することで、各馬の仕上がり具合をチェックすることできます。また、直前の追い切りパターンとレース結果と参照することで、今の馬場状態では坂路調教馬が有利、もしくはコース調教馬が有利など、調教タイプでの馬券検討が可能になります。この機会に是非、調教タイムを使ったレース検討の面白さを実感してください。