先週のコラムタイトルにもしていた『再び「P」注目』ですが、予想通り開幕週から好走の数々を見せてくれました。

　一番のヒットは「馬券総合倶楽部」でも取り上げていたオークヒルズ。休養明け、昇級初戦、牡馬との混合戦と厳しい条件が多かったため、単勝85.2倍の12番人気という低い評価でした。

　しかし調教本数は十分でしたし、池江郎厩舎の鉄板調教である「前日追い」の調教条件もあり好戦できる下地は十分整っていました。これにダメ押ししてくれたのが「日曜(左回り)栗東ポリトラック追い」(以下SP※)です。
※SPとはSunday Polytrackの略です。

　各コーナーの角度がきつい中京競馬場は立ち回りによる有利不利が生じるコースです。それだけに調教の時点で走路が時計の出やすいポリトラックで時計を出していることは、左回りのスパーリングのような効果があるのです。

　もともと中京競馬場での勝利経験があったオークヒルズですが、その中京で走るのは9か月ぶり。12月6日のポリトラックで当時の感触を思い出すべく時計を出したことがスムーズなレースぶりにつながり、直線では一瞬あわやのシーンで2着。複勝1,510円という高配当を演出してくれました。

　総合的な成績でも見ても、ダート1700mとダート2300mに出走したSPの成績は[2-2-0-3]で単勝回収率こそ93％ですが、複勝回収率は303％あり、複勝率も57％あります。

　ダート1000mは半円のため、この形状に近い美浦坂路調教馬に高い適性がありますが、コーナーを4つ以上周回しなくてはいけない距離になると、SPが絶大な効果を発揮すると思われます。

　特にダートは内が伸びる、外が伸びるといった時間の経過に馬場劣化の心配がないため、長期間馬券のお役に立てると思います。

　芝ではありますが、今週末に行われる愛知杯もSPに高い調教適性がありそう。なにせ先週の中日新聞杯のドリームサンデーがSPで上手に立ち回って、5番人気2着の好走を見せています。

　愛知杯でSPを探す方法はいたって簡単。調教欄を見て、12月13日の日付に「栗P」で時計を出しているかどうかを見ればよいのです。馬なりだろうが一杯だろうが、時計が速かろうが遅かろうが関係ありません。とにかく12月13日の栗PがあればそれでOKです。

　今回、このSPに該当した特別登録馬はヒカルアマランサス、リトルアマポーラ、レインダンスの3頭しかいません。

　特に中京開幕週からSPで絶好調の池江郎厩舎が管理するヒカルアマランサスは中京芝2000mの厩舎適性という観点からも強い推奨することができます。

　最後に阪神カップについて触れておきましょう。2007年は標準多め坂路のスズカフェニックス、2008年は標準坂路のマルカフェニックスと、坂路調教馬が強いのがこのレースの特徴です。

　しかも阪神芝1400mにおいては、栗東坂路での最終追い切りの時計が重要で、4F時計がメンバー最速であるか、ラスト1F時計がメンバー最速であるかの調教条件に該当している馬が馬券に絡んできます。

　先週阪神芝1400m行われた六甲アイランドSでは4F時計が51.4秒でメンバー最速だったエーシンフォワード(3番人気)が勝ち、ラスト1F時計が12.1秒でメンバー最速だったストリートスタイル(6番人気)が3着という結果を残しています。

　ですから今年の阪神カップも最終追い切りの時計を見極めた上で、軸馬を選定してはいかがでしょうか。


調教Gメンとは？
　調教をスポーツ科学的に分析した適性理論。それぞれのコースに必要な無酸素運動と有酸素運動の量やバランスを見極め、それに最も適した調教をしている馬を狙う馬券術。競馬新聞の調教欄に記載されている調教場所、調教本数、脚色(例：一杯)を確認するだけでOK。

調教コース＆調教タイプの考え方
　調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「一杯平均坂路」に分類される。

調教コース一覧
【トラック】　ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。有酸素運動の強化。
【坂路】　坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。無酸素運動の強化。
【併用】　トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。有無酸素をバランス良く強化。
【トラック主体】　トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。有酸素運動寄り。
【坂路主体】　トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。無酸素運動寄り。


調教タイプ一覧＆イメージ図

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　どのコースで何本追い切っているか、好走時、凡走時の調教過程など、過去の調教パターンを比較することで、各馬の仕上がり具合をチェックすることできます。また、直前の追い切りパターンとレース結果と参照することで、今の馬場状態では坂路調教馬が有利、もしくはコース調教馬が有利など、調教タイプでの馬券検討が可能になります。この機会に是非、調教タイムを使ったレース検討の面白さを実感してください。