エイシンフラッシュ(父キングズベスト)が皐月賞と同じ中山2000mの重賞を制し、これで距離2000m[3-0-0-0]となった。人気を分けたアドマイヤテンクウがハナを切って前半1000m通過「63.2秒」という超スローペースの流れ。これを最初から好位につけてアドマイヤテンクウをぴたっとマークする展開になり、もう1頭の人気馬レッドスパークルはスタートで後手を踏み、終始馬群の中でもまれる位置。エイシンフラッシュには願ってもない理想の形だった。
前半「13秒台」のラップが2回もあったため、最後「12.4‐11.4‐11.4秒」という上がりだけの競馬。並ばれたアドマイヤテンクウのストライドも鈍るわけもなく、最後は同時にスパートを開始した2頭のマッチレース。外から馬体を併せることになったエイシンフラッシュがハナだけ先着したが、この2頭、現時点の能力はほぼ互角。というよりまったく同ランクと考えたい。見た目には互いにもうひとつ鋭さを欠く印象があったが、最後「11.4秒」の地点での競り合いだけに、また、キャリアのわりにいかにも未完成な印象を残す器用でもない大型馬同士。一応は候補として合格だろう。
ただ、勝ったエイシンフラッシュはこれでローテーションが組みやすくなるのに対し、2着賞金加算のアドマイヤテンクウは非常に微妙な賞金額になったから、一度緩めて少し気楽な立場でステップレース出走に臨めるほどは楽な状況ではない。この2頭、いかにスローとはいえ、2分03秒6の全体時計も、上がり35.2-11.4秒も平凡といわざるをえないが、皐月賞まで3か月もある。パワーアップ、鋭さ強化に期待したい。
勝ったエイシンフラッシュも、2着アドマイヤテンクウの父も「キングマンボ系」。ローズキングダム、アパパネを送ったキングカメハメハを筆頭とするこの春の「キングマンボ旋風」はどうやら本物になってきた。
キングカメハメハは「京成杯」を5馬身もの差をつけられて3着に沈んでいるが、この時期、ずっと古いメジロラモーヌやダイナカールの時代から、のちになると「なぜあの馬があの時、あんな平凡な内容で負けた」のだろう。春を迎える前の冬の一時期、いまここでピークの体調になり、活力を消耗するようなレースをしない方が、「結果としてのちの活躍に結びつくことがある」。そんな冬競馬の歴史を思い出した。エイシンフラッシュも、アドマイヤテンクウも印象点とするとどうも物足りなかったが、必ずしも能力を全開させたわけではない。そのことが後に正解となるかもしれない。
レッドスパークルはいつもスタートの良くない馬だが、これで東京スポーツ杯3着、京成杯3着を含みながら、相変わらず賞金400万の「7戦1勝馬」にとどまることになってしまった。馬群を割って3着に押し上げたあたり、上位2頭とさして差のない能力を秘めるはずだが、ずっと順調に使われていながらまだ1勝。このあとのローテーションを考えると、ことクラシック路線では非常に厳しい立場になった。
すでに展望の開けている候補と異なり、キャリアの浅い1勝馬はトップグループの休んでいるここでそれなりの結果が欲しかった。フラガラッハ、アースステップなど善戦には持ち込めたが、先行のアドマイヤテンクウ、エイシンフラッシュを追い詰めるくらいでないと、新星にはなりえないのがこの時期。一歩下がって、自己の500万条件からの出直しは仕方がない。