なぜ、安田記念は大波乱が多いのかというと、最近こそあまりハイペース(前後半の800mに2〜3秒の差が生じる)はないが、東京のマイルで厳しいペースになると、軽快なスピードだけでは乗り切れないため。
まして96年以降は、牡馬58キロがベースになったから、軽いマイラーというより、底力のある馬でないと通用しないことが多い。
今年、単にマイルの実績があるだけでなく、総合力も備えていると考えていいのは、香港でもG1を圧勝し、世界でも認められているエイシンプレストン。もう一頭、3歳クラシックでのアグネスタキオン、ジャングルポケットの2着しているダンツフレーム。この2頭は時計や、展開ではなく、Aランクの馬として軽く扱わない方がいい。
もう一頭、ぜひ注目は、7歳ディヴァインライト。ふつうマイル路線は「若い馬」有利だが、58キロになった安田記念では、トロットサンダー、ブラックホーク、タイキブリザードが6〜7歳馬として勝っている。タフな底力が最後に生きた形だった。
ディヴァインライトは、スペシャルウィーク、エルコンドルパサー、グラスワンダー、セイウンスカイなど、近年では最高レベル世代の生き残り。皐月賞では5着、ダービーでも7着だった。
その後屈腱炎や脚部不安で1年以上の休養が2回もあり、4歳以降、これまでの3年半で16戦しただけ。休み休みの完調手前の当時にも、G1高松宮記念2着があった。今季はもう7歳、もう待っている時間はなく、この中間ビシビシ追って、5ハロン62秒台、63秒台連発は、あのダービー以来だ。
あれだけかかった前走、完調手前で1分32秒6。まだまだ衰えていない。本来の差す形で突っ込んでくるはずだ。