競輪
阪急杯・中山記念
- 2010年03月01日(月) 18時00分
早めに天気が回復した阪神の「阪急杯1400m」は、3月28日のGI「高松宮記念」に続く路線。阪神の1400mと中京1200mでは条件が大きく異なるが、活きのいい若いグループの台頭が期待された。6歳以上のベテラン「10頭」に対し、これからの上昇が期待できる4〜5歳馬は「6頭」。
結果、上位4着までを「4〜5歳馬」が独占する形になった。先週のダート路線の頂点「フェブラリーS」の上位5着までが4〜5歳の新勢力だったのと連動するように、芝の短距離路線にも勢力図の変化が訪れつつある。
良馬場に回復したとはいえ、多少とも時計のかかるコンディションに加え、快速の先行スピード型が少ない組み合わせ。前半「35.0-46.2秒…」のペースは、ローレルゲレイロが飛ばしビービーガルダンが2番手から抜け出した昨年の「34.1-45.7秒…」よりだいぶ遅かった。今年は人気の中心だった6歳ビービーガルダンにとって、ペース自体は楽でも勝負どころから3〜4頭が同位置に固まるような展開は好ましくなかったろう。みんなが当面の目標ビービーガルダンをマークできる形になった。デキは決して悪くなく、流れもきつくなかったが、この馬、終始外からプレッシャーをかけられる位置関係が予想以上に応えたフシがある。失速の力関係やタイムではなかった。
互角のスタートから最初は3番手。楽な流れだから早めに動いてきたトライアンフマーチなどを前に行かせ、絶好の好位インキープになったのが勝ったエーシンフォワード。直線、狭くなったヘッドライナー、ビービーガルダンの間をこじ開けて抜け出した。時計の1分21秒4は平凡だが、馬場状態と前半のペースが遅かったことを考慮すると、「ビービーガルダン＝ローレルゲレイロ」の決着で1分21秒1だった昨年とほぼ同レベルではないかと思える。3歳時の重賞路線(ダービーにも出走している)では、距離や相手もあって不振だったが、短距離路線に戻って調子を取り戻した昨年12月からは[3-1-1-0]。一気にトップクラスまで巻き返してきた。ベストは全5勝中4勝の1400mだろうが、「安田記念を目標としていたんだが…（西園調教師）」という1600mより、高松宮記念の1200mのほうが合うように思える。
ワンカラットは昨春の桜花賞トライアル「フィリーズレビュー」をインから伸びて勝っているから、少し時計のかかる阪神1400mは絶好の条件だった。脚の使いどころが難しく、今回は早めに抜け出そうとしたところを差され、サンカルロにも強襲された。きわどい2着だったが、いつもこのくらい強気に出たほうがいい。古馬オープンの牡馬相手だと切れ味や総合力で上回ることは難しい。
そのサンカルロは、このペースで58�圓詫�利ではなかった。それを考えるとこの後の展望がもっとも大きく開けたのはこの馬だろう。1200mは短すぎ、1600mだと懸念の折り合い難が生じる危険があるから、1400mのGIがないのは残念だが、まだ4歳春、パワーアップして1600mでも折り合い不安なしに成長したい。
トライアンフマーチは初めての1400m。しかし、前半のペースが楽だったから、いきなり3〜4番手追走は予想外の位置取り。4コーナーまでは楽な追走に見えたが、結果、今回はなし崩しに脚を使ってしまった印象がある。1400mは十分に守備範囲と思えるが、サンカルロなどと同じように行けば行ける脚はあっても、ある程度なだめて進んだほうが切れ味発揮につながるタイプかもしれない。
不良馬場のままだった「中山記念」は、スペシャリストの1800mというより、もっと長い距離OKの底力とスタミナが求められる結果になった。馬場を苦にしてみんなが苦しくなった直線坂上、あっという間に5馬身も抜け出したトーセンクラウンの圧勝。
この馬自身の体調の上がる得意の冬場。この馬場で、オペラハウス産駒らしいプラスαのスタミナがフルに生きた。最近では同じ不良馬場の目黒記念を5馬身差圧勝のミヤビランベリがそうだったが、最後にライバルが苦しくなったところで決定的な差をつけている。
後方から、トーセンクラウンとは逆に大外から突っ込んできたのもオペラハウス産駒のテイエムアンコール。3着ショウワモダンなど、上位を占めたのは重馬場にマイナスのない馬ばかり。キングストリート以下の失速グループは馬場差「約3.5秒」前後も生じたコンディションに対応できなかった。シャドウゲイトはスタートでつまずいて落馬しそうになる不利。アブソリュートはスムーズに返し馬に入れず、状態一歩に映った。
■編集部より
筆者都合のため、来週3/8更新分は休載させていただきます。次回の更新は3/15を予定しております。何卒ご了承ください。
結果、上位4着までを「4〜5歳馬」が独占する形になった。先週のダート路線の頂点「フェブラリーS」の上位5着までが4〜5歳の新勢力だったのと連動するように、芝の短距離路線にも勢力図の変化が訪れつつある。
良馬場に回復したとはいえ、多少とも時計のかかるコンディションに加え、快速の先行スピード型が少ない組み合わせ。前半「35.0-46.2秒…」のペースは、ローレルゲレイロが飛ばしビービーガルダンが2番手から抜け出した昨年の「34.1-45.7秒…」よりだいぶ遅かった。今年は人気の中心だった6歳ビービーガルダンにとって、ペース自体は楽でも勝負どころから3〜4頭が同位置に固まるような展開は好ましくなかったろう。みんなが当面の目標ビービーガルダンをマークできる形になった。デキは決して悪くなく、流れもきつくなかったが、この馬、終始外からプレッシャーをかけられる位置関係が予想以上に応えたフシがある。失速の力関係やタイムではなかった。
互角のスタートから最初は3番手。楽な流れだから早めに動いてきたトライアンフマーチなどを前に行かせ、絶好の好位インキープになったのが勝ったエーシンフォワード。直線、狭くなったヘッドライナー、ビービーガルダンの間をこじ開けて抜け出した。時計の1分21秒4は平凡だが、馬場状態と前半のペースが遅かったことを考慮すると、「ビービーガルダン＝ローレルゲレイロ」の決着で1分21秒1だった昨年とほぼ同レベルではないかと思える。3歳時の重賞路線(ダービーにも出走している)では、距離や相手もあって不振だったが、短距離路線に戻って調子を取り戻した昨年12月からは[3-1-1-0]。一気にトップクラスまで巻き返してきた。ベストは全5勝中4勝の1400mだろうが、「安田記念を目標としていたんだが…（西園調教師）」という1600mより、高松宮記念の1200mのほうが合うように思える。
ワンカラットは昨春の桜花賞トライアル「フィリーズレビュー」をインから伸びて勝っているから、少し時計のかかる阪神1400mは絶好の条件だった。脚の使いどころが難しく、今回は早めに抜け出そうとしたところを差され、サンカルロにも強襲された。きわどい2着だったが、いつもこのくらい強気に出たほうがいい。古馬オープンの牡馬相手だと切れ味や総合力で上回ることは難しい。
そのサンカルロは、このペースで58�圓詫�利ではなかった。それを考えるとこの後の展望がもっとも大きく開けたのはこの馬だろう。1200mは短すぎ、1600mだと懸念の折り合い難が生じる危険があるから、1400mのGIがないのは残念だが、まだ4歳春、パワーアップして1600mでも折り合い不安なしに成長したい。
トライアンフマーチは初めての1400m。しかし、前半のペースが楽だったから、いきなり3〜4番手追走は予想外の位置取り。4コーナーまでは楽な追走に見えたが、結果、今回はなし崩しに脚を使ってしまった印象がある。1400mは十分に守備範囲と思えるが、サンカルロなどと同じように行けば行ける脚はあっても、ある程度なだめて進んだほうが切れ味発揮につながるタイプかもしれない。
不良馬場のままだった「中山記念」は、スペシャリストの1800mというより、もっと長い距離OKの底力とスタミナが求められる結果になった。馬場を苦にしてみんなが苦しくなった直線坂上、あっという間に5馬身も抜け出したトーセンクラウンの圧勝。
この馬自身の体調の上がる得意の冬場。この馬場で、オペラハウス産駒らしいプラスαのスタミナがフルに生きた。最近では同じ不良馬場の目黒記念を5馬身差圧勝のミヤビランベリがそうだったが、最後にライバルが苦しくなったところで決定的な差をつけている。
後方から、トーセンクラウンとは逆に大外から突っ込んできたのもオペラハウス産駒のテイエムアンコール。3着ショウワモダンなど、上位を占めたのは重馬場にマイナスのない馬ばかり。キングストリート以下の失速グループは馬場差「約3.5秒」前後も生じたコンディションに対応できなかった。シャドウゲイトはスタートでつまずいて落馬しそうになる不利。アブソリュートはスムーズに返し馬に入れず、状態一歩に映った。
■編集部より
筆者都合のため、来週3/8更新分は休載させていただきます。次回の更新は3/15を予定しております。何卒ご了承ください。
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。
