春シーズンの最後にある古馬重賞。ここを使って夏の休養に入る馬もいれば、夏のローカル重賞を狙っている馬もいたりする。調子上昇カーブの馬と、そろそろピーク過ぎの危険もある馬がいて、季節の変わり目にある重賞はマトが絞りにくい。
昨年のこの週は、内のA2コースだけに芝が良く、1分45秒1の快時計が生まれたが、今年は先週までと同じBコース。安田記念を振り返ると分かるように、はっきり外に出した馬向きの芝状態だ。行って粘るタイプより直線外から差す馬に分がありそうだ。
上がり馬に注目したい。格上がりで別定の57キロはきびしいが、前走、上がり33秒3の爆発力をみせた4歳フォーレルアゲインはここでも通用しそうだ。勢いがある。
父シアトルダンサーII(その父ニジンスキー)は、かつてキーンランドのせり市で史上最高の13103ドル(当時約31億円)で取り引きされた馬。シアトルスルーの半弟という評価ほどは走らず、種牡馬となっても、アメリカ、アイルランド、シャトルでオーストラリア、そして日本へ来たように、必ずしも大成功したとはいえない。しかし、すでに日米英豪でG1馬を送っている。日本では、外国産馬タイキフォーチュンが東京のNHKマイルCを制した。
輸入されてからの産駒はもう一歩だが、このフォーレルアゲインはしだいしだいに力をつけ、オープンに出世してきた。4歳の今年、長い直線の東京にマトを絞って遠征、1、3、1着の良績を残している。距離はむしろ今回の1800mのほうがあっている可能性が高く、上がり馬の強みがフルに生きそうだ。東京芝での2勝はともに外に出して坂上から一気に伸びている。