競輪
スプリングS
- 2010年03月22日(月) 18時00分
もっともペースを落とした1Fが「12.4秒」。中山の1800mらしい典型的な一定ペース(ハロン平均12秒前後)に持ち込んだアリゼオの、鮮やかな逃げ切りが決まった。馬込みにもまれ他馬と並んで走ると行きたがってしまう気性、強力な先行型不在、距離の1800mを考え、最初から行く作戦だったのだろう。
スタートは決して早くなかったが、最初のコーナーまでに気合を入れ、好スタートのカワキタコマンドの内をすくうように1コーナー先頭。最近ではカンパニーの中山記念で連続して見せたと同じような、横山典弘騎手の最初の200mでのダッシュの効かせ方と巧みなコース取りで、単騎先頭。あとは離すでもなし、引きつけ過ぎるでもなしの一定ペース。ゲシュタルト、ローズキングダム以下を完封の逃げ切りだった。
突き離しにかかった残り400m〜200mの1Fが最速の「11.5秒」であること。また、少し行きたがったとはいえ、内ハンソデバンド、外ダノンシャンティとの競り合いになった共同通信杯の最後1F「11.3秒」の地点で3着にとどまったことから、そう爆発力のあるタイプではないかもしれない。しかし、あえて終始目標になるペースメーカーの立場を選んで、ここでは候補No.1とされたローズキングダムを封じた自信は大きい。
このあと精神面の成長があれば、またバラける展開なら決してハナにこだわる必要はないと思われる。これで「皐月賞」の最有力候補の1頭にランクアップだろう。ファミリーは、最近ではインティライミなどで知られる一族であり、特徴や成長過程のイメージが少しダブる部分もある。
本番の最有力候補の1頭として断然の人気(単勝1.4倍)だったローズキングダムは、直線もう一歩伸びずに3着。3歳初戦。それもここはステップのトライアルレース。陣営の「ここは負けたくない。連勝のまま本番を迎えたい」が連日報道されたが、あれは多分に橋口調教師の自陣営を鼓舞する姿勢と、熱望を自信(確信)に変えたいという気持ちを強く表したきわめて正直なコメントであり、ここは負けてもいい一戦。ステップにすぎない。
ただし、問題は「負け方」。ここは見方が微妙に、かつ大きく分かれるだろう。体つきが小ぶりなのは、一族の特徴の1つでもあり、非力ということではない。ドリームジャーニーも、ディープインパクトも決して大きくはなく、むしろ小さい。ただし、ストライドや体の使い方や、醸し出す全体の印象が「こじんまり」では良くない。
スプリングSのローズキングダムは、期せずして「小さいな…」の声がささやかれた。仕上がりは上々。どこといって不安を感じさせる状態ではないが、隊列に没しかねない小さな馬に映った。好スタートから少し控えて進んだのも本番を意識した想定通りの位置取りだろう。とくにもまれた印象はなかった。4コーナー手前、前のアリゼオ以下との差はそれほどなく、手ごたえも悪くなかった。直線でスムーズに前が開かなかったあたり、ちょっとロスはあったが、ゲシュタルトは瞬時にかわせそうに見えて、並びかけてからは同じ脚いろ。
並んで先頭のアリゼオとの差は詰めているが、負け方に迫力(スケール)負けの印象が残ってしまった。休み明けだから、最後の伸びを欠いたとはいえる。アリゼオはともかく、伏兵ゲシュタルトが予想以上に能力があったともいえる。しかし、充電明けで当日輸送なしの中山入厩でマイナス2�圈�スケールアップを感じさせないこじんまり見せた馬体。1度使っての体調良化を見込んでも、候補としての評価はレース前より明らかにダウンだろう。この馬はGI「朝日杯FS」を制してはいる。でも、やっぱり「ローザネイ一族…」。そんな不安を抱かせたことは否定できない。使っての格段の良化を期待したい。
ゲシュタルトはうまく流れに乗ったとはいえ、現実にローズキンダムに競り勝ったのだから評価アップ。サンライズプリンスは内でもまれた不利と、初の坂の地点で差を詰められなかったのが痛かった。ゴール前は明らかにまだ脚があった。
巻き返しに期待した伏兵サクラエルドールは、最初からリズムに乗れずまったくの完敗。良く見せすぎる体形には違いないが、さすがにここまで凡走する馬ではなく、皐月賞をあきらめての再出発に注目したい。
サンディエゴシチーも2歳時の元気がなく、休み明けの今回は前半に置かれてしまった。
スタートは決して早くなかったが、最初のコーナーまでに気合を入れ、好スタートのカワキタコマンドの内をすくうように1コーナー先頭。最近ではカンパニーの中山記念で連続して見せたと同じような、横山典弘騎手の最初の200mでのダッシュの効かせ方と巧みなコース取りで、単騎先頭。あとは離すでもなし、引きつけ過ぎるでもなしの一定ペース。ゲシュタルト、ローズキングダム以下を完封の逃げ切りだった。
突き離しにかかった残り400m〜200mの1Fが最速の「11.5秒」であること。また、少し行きたがったとはいえ、内ハンソデバンド、外ダノンシャンティとの競り合いになった共同通信杯の最後1F「11.3秒」の地点で3着にとどまったことから、そう爆発力のあるタイプではないかもしれない。しかし、あえて終始目標になるペースメーカーの立場を選んで、ここでは候補No.1とされたローズキングダムを封じた自信は大きい。
このあと精神面の成長があれば、またバラける展開なら決してハナにこだわる必要はないと思われる。これで「皐月賞」の最有力候補の1頭にランクアップだろう。ファミリーは、最近ではインティライミなどで知られる一族であり、特徴や成長過程のイメージが少しダブる部分もある。
本番の最有力候補の1頭として断然の人気(単勝1.4倍)だったローズキングダムは、直線もう一歩伸びずに3着。3歳初戦。それもここはステップのトライアルレース。陣営の「ここは負けたくない。連勝のまま本番を迎えたい」が連日報道されたが、あれは多分に橋口調教師の自陣営を鼓舞する姿勢と、熱望を自信(確信)に変えたいという気持ちを強く表したきわめて正直なコメントであり、ここは負けてもいい一戦。ステップにすぎない。
ただし、問題は「負け方」。ここは見方が微妙に、かつ大きく分かれるだろう。体つきが小ぶりなのは、一族の特徴の1つでもあり、非力ということではない。ドリームジャーニーも、ディープインパクトも決して大きくはなく、むしろ小さい。ただし、ストライドや体の使い方や、醸し出す全体の印象が「こじんまり」では良くない。
スプリングSのローズキングダムは、期せずして「小さいな…」の声がささやかれた。仕上がりは上々。どこといって不安を感じさせる状態ではないが、隊列に没しかねない小さな馬に映った。好スタートから少し控えて進んだのも本番を意識した想定通りの位置取りだろう。とくにもまれた印象はなかった。4コーナー手前、前のアリゼオ以下との差はそれほどなく、手ごたえも悪くなかった。直線でスムーズに前が開かなかったあたり、ちょっとロスはあったが、ゲシュタルトは瞬時にかわせそうに見えて、並びかけてからは同じ脚いろ。
並んで先頭のアリゼオとの差は詰めているが、負け方に迫力(スケール)負けの印象が残ってしまった。休み明けだから、最後の伸びを欠いたとはいえる。アリゼオはともかく、伏兵ゲシュタルトが予想以上に能力があったともいえる。しかし、充電明けで当日輸送なしの中山入厩でマイナス2�圈�スケールアップを感じさせないこじんまり見せた馬体。1度使っての体調良化を見込んでも、候補としての評価はレース前より明らかにダウンだろう。この馬はGI「朝日杯FS」を制してはいる。でも、やっぱり「ローザネイ一族…」。そんな不安を抱かせたことは否定できない。使っての格段の良化を期待したい。
ゲシュタルトはうまく流れに乗ったとはいえ、現実にローズキンダムに競り勝ったのだから評価アップ。サンライズプリンスは内でもまれた不利と、初の坂の地点で差を詰められなかったのが痛かった。ゴール前は明らかにまだ脚があった。
巻き返しに期待した伏兵サクラエルドールは、最初からリズムに乗れずまったくの完敗。良く見せすぎる体形には違いないが、さすがにここまで凡走する馬ではなく、皐月賞をあきらめての再出発に注目したい。
サンディエゴシチーも2歳時の元気がなく、休み明けの今回は前半に置かれてしまった。
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。
