競輪
皐月賞
- 2010年04月19日(月) 18時00分
断然の1番人気に支持されたヴィクトワールピサ(父ネオユニヴァース)が、直線、インをこじ開けるあけ豪快に抜け出して快勝。最初の1冠を制すると同時に、2003年の父に続く「皐月賞→日本ダービー」連覇に向け大きなストライドを踏み出した。
ラジオNIKKEI杯、弥生賞、皐月賞…と路線の王道を歩み続けこれで2000mを5連勝。父のネオユニヴァースもこの時期、同じように連勝のままダービーまで突き進んだが、体つき、追い出しての迫力など、父を上回るスケールさえありそうである。
昨年のアンライバルド(父ネオユニヴァース)とは多少タイプが異なるが、サンデーサイレンスと、ヨーロッパ血脈を根底にする牝系との組み合わせは、ネオユニヴァース自身も、アンライバルドも、さらにはヴィクトワールピサも同じ。それもあって、この時期の少し時計を要したりするタフな芝コンディションは平気。今回のヴィクトワールピサは他馬が嫌いたくなる芝の荒れたインを衝くことなど少しもマイナスではなかった。
直前のレースで岩田騎手はスタート直後に落馬。どうなることかと思えたが、皐月賞では最初の1コーナーからもうインを通る進路を選び、道中の進出もずっと内ラチ沿い。彼は決して豪気ではなく、他陣営や尊敬する先輩騎手に気をつかいすぎたり、時には気が弱い印象さえ与えたりもする。落馬で動転するかと思えたが、逆にあたふたしているうちに雑念は消え、レースで無心になれたのかもしれない。最初から「そんなに芝の悪くないイン追走」は朝からずっと芝を観察し続けた結果の、作戦の1つだったという。
断然の1番人気馬で、道中で致命的な不利を受けかねない中山内回りのイン衝き作戦。これは大胆、もし詰まったりすれば大失敗の危険と隣り合わせだった。まして、(武豊騎手の代打でもあり)なんとしても結果を出さなければならない状況である。この1勝は初クラシック制覇のオーナー以上に、岩田騎手の大きな自信となるだろう。頂点のビッグレースをこういう状況下で勝ち切ったことは、岩田騎手にとり、これまでのGIレース勝ちとはまたその意味が異なるように思える。
大接戦の2着争いは、これも父方サンデーサイレンスに、牝系は欧州タイプ(母父はラムタラ)のヒルノダムール。大跳びで小足の使えないタイプとあって、こちらは外を回ることを余儀なくされた。藤田騎手がタイミング良くスパートしようとした瞬間、この多頭数だから必ずしもスムーズではないシーンもあったが、最後は鋭く伸びてみせた。印象はもっと伸び伸び走れる東京コースの良馬場。今回の馬体は決して細くない。距離延長にはまず不安なし。もちろんダービーでも争覇圏だろう。
エイシンフラッシュ(父はキングマンボ直仔のキングズベスト)は、鼻肺炎の兆候があるなど本意ではない1月以来の実戦。好仕上がりを示してはいても不利な臨戦だった。しかし、坂を上がっての伸びは、外のヒルノダムール、内のローズキングダムとまったく互角。苦しくなってから伸びたあたりに底力を感じせた。たまたま今回はローテーションもあって人気薄だったが、これまで2000m3戦3勝だった候補。母の父はジャパンC好走のプラティニ(独)。スタミナ不安はないだろう。高い評価を取り戻した。
4着ローズキングダムは、今回が初の2000m。迫力負けの危険ありと思えた。そこにさらに馬体重が減ってデビュー時より18�垳困�438�圈�それでいながら、この好走は立派。さすが…というしかない。正直、見直したが、こじんまり見せたのは事実で、目標のダービーに向けて疲れを取りつつ、なおかつパワーアップしたい。
今年の3歳牡馬路線。皐月賞を回避したグループに例年以上に魅力的なダービー候補がそろっている。ダノンシャンティ(松田国)、ペルーサ(藤沢和)、サンライズプリンス(音無)…など、ダービーでは皐月賞上位組より高い評価を受けても不思議ない。
皐月賞組で、上位馬は別にして、今回は着外に終わってもダービーでは…。そんな可能性を認めたい伏兵は少なく、もう少しスムーズに行き脚がつくようになったときのレーヴドリアン(素晴らしいバネがある)程度だろう。アリゼオ(父シンボリクリスエス)も巻き返して不思議ないが、距離2400mに案外死角があるかもしれない。昨年は皐月賞上位グループが、ダービーでは皐月賞凡走組にまとめて逆転される珍しい形になったが、今年はそういう勢力図ではないと思える。
ラジオNIKKEI杯、弥生賞、皐月賞…と路線の王道を歩み続けこれで2000mを5連勝。父のネオユニヴァースもこの時期、同じように連勝のままダービーまで突き進んだが、体つき、追い出しての迫力など、父を上回るスケールさえありそうである。
昨年のアンライバルド(父ネオユニヴァース)とは多少タイプが異なるが、サンデーサイレンスと、ヨーロッパ血脈を根底にする牝系との組み合わせは、ネオユニヴァース自身も、アンライバルドも、さらにはヴィクトワールピサも同じ。それもあって、この時期の少し時計を要したりするタフな芝コンディションは平気。今回のヴィクトワールピサは他馬が嫌いたくなる芝の荒れたインを衝くことなど少しもマイナスではなかった。
直前のレースで岩田騎手はスタート直後に落馬。どうなることかと思えたが、皐月賞では最初の1コーナーからもうインを通る進路を選び、道中の進出もずっと内ラチ沿い。彼は決して豪気ではなく、他陣営や尊敬する先輩騎手に気をつかいすぎたり、時には気が弱い印象さえ与えたりもする。落馬で動転するかと思えたが、逆にあたふたしているうちに雑念は消え、レースで無心になれたのかもしれない。最初から「そんなに芝の悪くないイン追走」は朝からずっと芝を観察し続けた結果の、作戦の1つだったという。
断然の1番人気馬で、道中で致命的な不利を受けかねない中山内回りのイン衝き作戦。これは大胆、もし詰まったりすれば大失敗の危険と隣り合わせだった。まして、(武豊騎手の代打でもあり)なんとしても結果を出さなければならない状況である。この1勝は初クラシック制覇のオーナー以上に、岩田騎手の大きな自信となるだろう。頂点のビッグレースをこういう状況下で勝ち切ったことは、岩田騎手にとり、これまでのGIレース勝ちとはまたその意味が異なるように思える。
大接戦の2着争いは、これも父方サンデーサイレンスに、牝系は欧州タイプ(母父はラムタラ)のヒルノダムール。大跳びで小足の使えないタイプとあって、こちらは外を回ることを余儀なくされた。藤田騎手がタイミング良くスパートしようとした瞬間、この多頭数だから必ずしもスムーズではないシーンもあったが、最後は鋭く伸びてみせた。印象はもっと伸び伸び走れる東京コースの良馬場。今回の馬体は決して細くない。距離延長にはまず不安なし。もちろんダービーでも争覇圏だろう。
エイシンフラッシュ(父はキングマンボ直仔のキングズベスト)は、鼻肺炎の兆候があるなど本意ではない1月以来の実戦。好仕上がりを示してはいても不利な臨戦だった。しかし、坂を上がっての伸びは、外のヒルノダムール、内のローズキングダムとまったく互角。苦しくなってから伸びたあたりに底力を感じせた。たまたま今回はローテーションもあって人気薄だったが、これまで2000m3戦3勝だった候補。母の父はジャパンC好走のプラティニ(独)。スタミナ不安はないだろう。高い評価を取り戻した。
4着ローズキングダムは、今回が初の2000m。迫力負けの危険ありと思えた。そこにさらに馬体重が減ってデビュー時より18�垳困�438�圈�それでいながら、この好走は立派。さすが…というしかない。正直、見直したが、こじんまり見せたのは事実で、目標のダービーに向けて疲れを取りつつ、なおかつパワーアップしたい。
今年の3歳牡馬路線。皐月賞を回避したグループに例年以上に魅力的なダービー候補がそろっている。ダノンシャンティ(松田国)、ペルーサ(藤沢和)、サンライズプリンス(音無)…など、ダービーでは皐月賞上位組より高い評価を受けても不思議ない。
皐月賞組で、上位馬は別にして、今回は着外に終わってもダービーでは…。そんな可能性を認めたい伏兵は少なく、もう少しスムーズに行き脚がつくようになったときのレーヴドリアン(素晴らしいバネがある)程度だろう。アリゼオ(父シンボリクリスエス)も巻き返して不思議ないが、距離2400mに案外死角があるかもしれない。昨年は皐月賞上位グループが、ダービーでは皐月賞凡走組にまとめて逆転される珍しい形になったが、今年はそういう勢力図ではないと思える。
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。
