競輪
オークス
- 2010年05月24日(月) 18時00分
GI史上初の1着同着となり、アパパネ(父キングカメハメハ)は桜花賞に続いての「2冠制覇」。サンテミリオン(父ゼンノロブロイ)は、オークスに産駒を6頭も送り込むことに成功した種牡馬ゼンノロブロイ産駒。これによってゼンノロブロイは初年度産駒がクラシックホースとなった。関東所属馬の1着(同着)独占は、1982年のシャダイアイバー＝リーゼンクロス以来のこと。フルゲートが18頭になった1992年以降、外の18番、17番の馬が勝ったのも初めて…など、さまざまな珍しい記録が生まれた。
デッドヒートの本来の意味は「同着。あるいは引き分け(ヒート競走が無勝負になったというのが語源か？)」とされるが、アパパネとサンテミリオンの競り合いは、最後まで両者一歩も譲らなかったという意味でも、歴史に残るデッドヒートだった。
アパパネは桜花賞時にいかにもマイラー体型を思わせた480�圓稜和里髻�2400mのオークスに適応させるべく今回は470�圓帽覆辰討�た。国枝調教師、会心の仕上げだったろう。外の17番を引いたのは不利と思えたが、不運は「渋馬場」にもつれこんだことにより、逆に幸運にも転じた。蛯名騎手も最初から無理に好位につけようとせず、無理なく後方にも近い集団の外につけ折り合いに専念する作戦。
サンテミリオンの古賀慎明調教師は、藤沢和厩舎の助手時代にゼンノロブロイの3歳春の成長曲線を知り尽くしていた。こちらは入念に乗ってパワーアップを思わせるプラス体重の460�圈�レース運びはサンテミリオンもまったく同様。好位キープに出る作戦はあえて取らず、中団よりむしろ後方に近い位置で途中でのロスを防ぐ戦法に出た。
前半に飛ばした伏兵ニーマルオトメ(離れてアグネスワルツ)の刻んだペースは、1000m通過60.6秒、1200m通過1分13秒7…。実質「重馬場」にも悪化した芝コンディションを考えるときつかったが、離れた2番手、さらには3番手のショウリュウムーンが事実上のペースメーカー。さらにレースの中盤から直線に向くまでの4ハロンが「13.1−13.3−13.5−13.5秒…」と著しくペースダウンしたから、先行馬のペースに関係なく進んだアパパネ、すぐ前にいたサンテミリオンなどにとっては、変形の時計を要するマイル戦のような後半勝負だった。
後半3ハロンは「12.0−11.5−12.4秒」。タフな渋馬場がもたらした勝ち時計2分29秒9が与えるイメージとは逆に、余力を残して進んだグループにとってはスローの「上がり勝負」に近い。伏兵がスパートし始め、ペースの上がりかけた4コーナー手前でアパパネもサンミリオンも、ひと呼吸待ってスパートしたあたりが目下絶好調の蛯名正義騎手と、横山典弘騎手の「渋馬場のオークス」に臨んでの勝負勘だったと思える。
直線、前のサンテミリオンを一気にかわすようにスパートしたアパパネが、残り200mではクビぐらい出たように見えたが、馬体が接近した残り50m。猛然と差し返しにでたサンテミリオン。並んでのゴールは、体勢はサンテミリオン有利かと思えたが、ゴール瞬間のクビの上げ下げはまったく互角。写真判定10分以上。これで微差1〜2cmを求めての1着、2着の決定は、おそらく意味なしの無粋な判定にもなりかねない。同着は両陣営だけでなく、ファンも納得。2頭のオークス馬誕生にふさわしい判定だった。
3着アグネスワルツ(父ゼンノロブロイ)は、浅いキャリアで骨折休養明け2戦目。実際には単騎逃げと同じような形になったとはいえ、この快走は素晴らしい。良馬場だったらどの馬も結果は微妙に異なっていただろうが、アグネスワルツは「フローラS」の内容からして、サンテミリオンともっと差はなかったかもしれない。
ショウリュウムーンは、桜花賞の体調キープに出るしかなかったあたり、やや線が細かった。楽に3番手キープは理想の展開にも近かったが、大跳びのフットワークと成長の途上の馬体に与えた渋馬場でのスタミナロスは、見た目以上に大きかった。
オウケンサクラは勝った2頭とほぼ同じような位置取り。うまく馬群の外に持ち出せるスペースがあればもっと差はなかったろう。体つきはマイラー型に映るから、秋の2000m前後のレースで巻き返したい。
ブルーミングアレーは、直線で前が詰まってしまった。こういう馬場だからみんな良馬場時以上に進路変更が生じる。ちょっと不運だった。アプリコットフィズはどこかで馬場の悪化したインから外へ出したかったが、また体が減って422�圈�桜花賞時にも感じたが、一族のマンハッタンカフェと同じでこの時期の馬体維持に苦心して、また馬体重減。まして渋馬場。秋に巻き返したい。
デッドヒートの本来の意味は「同着。あるいは引き分け(ヒート競走が無勝負になったというのが語源か？)」とされるが、アパパネとサンテミリオンの競り合いは、最後まで両者一歩も譲らなかったという意味でも、歴史に残るデッドヒートだった。
アパパネは桜花賞時にいかにもマイラー体型を思わせた480�圓稜和里髻�2400mのオークスに適応させるべく今回は470�圓帽覆辰討�た。国枝調教師、会心の仕上げだったろう。外の17番を引いたのは不利と思えたが、不運は「渋馬場」にもつれこんだことにより、逆に幸運にも転じた。蛯名騎手も最初から無理に好位につけようとせず、無理なく後方にも近い集団の外につけ折り合いに専念する作戦。
サンテミリオンの古賀慎明調教師は、藤沢和厩舎の助手時代にゼンノロブロイの3歳春の成長曲線を知り尽くしていた。こちらは入念に乗ってパワーアップを思わせるプラス体重の460�圈�レース運びはサンテミリオンもまったく同様。好位キープに出る作戦はあえて取らず、中団よりむしろ後方に近い位置で途中でのロスを防ぐ戦法に出た。
前半に飛ばした伏兵ニーマルオトメ(離れてアグネスワルツ)の刻んだペースは、1000m通過60.6秒、1200m通過1分13秒7…。実質「重馬場」にも悪化した芝コンディションを考えるときつかったが、離れた2番手、さらには3番手のショウリュウムーンが事実上のペースメーカー。さらにレースの中盤から直線に向くまでの4ハロンが「13.1−13.3−13.5−13.5秒…」と著しくペースダウンしたから、先行馬のペースに関係なく進んだアパパネ、すぐ前にいたサンテミリオンなどにとっては、変形の時計を要するマイル戦のような後半勝負だった。
後半3ハロンは「12.0−11.5−12.4秒」。タフな渋馬場がもたらした勝ち時計2分29秒9が与えるイメージとは逆に、余力を残して進んだグループにとってはスローの「上がり勝負」に近い。伏兵がスパートし始め、ペースの上がりかけた4コーナー手前でアパパネもサンミリオンも、ひと呼吸待ってスパートしたあたりが目下絶好調の蛯名正義騎手と、横山典弘騎手の「渋馬場のオークス」に臨んでの勝負勘だったと思える。
直線、前のサンテミリオンを一気にかわすようにスパートしたアパパネが、残り200mではクビぐらい出たように見えたが、馬体が接近した残り50m。猛然と差し返しにでたサンテミリオン。並んでのゴールは、体勢はサンテミリオン有利かと思えたが、ゴール瞬間のクビの上げ下げはまったく互角。写真判定10分以上。これで微差1〜2cmを求めての1着、2着の決定は、おそらく意味なしの無粋な判定にもなりかねない。同着は両陣営だけでなく、ファンも納得。2頭のオークス馬誕生にふさわしい判定だった。
3着アグネスワルツ(父ゼンノロブロイ)は、浅いキャリアで骨折休養明け2戦目。実際には単騎逃げと同じような形になったとはいえ、この快走は素晴らしい。良馬場だったらどの馬も結果は微妙に異なっていただろうが、アグネスワルツは「フローラS」の内容からして、サンテミリオンともっと差はなかったかもしれない。
ショウリュウムーンは、桜花賞の体調キープに出るしかなかったあたり、やや線が細かった。楽に3番手キープは理想の展開にも近かったが、大跳びのフットワークと成長の途上の馬体に与えた渋馬場でのスタミナロスは、見た目以上に大きかった。
オウケンサクラは勝った2頭とほぼ同じような位置取り。うまく馬群の外に持ち出せるスペースがあればもっと差はなかったろう。体つきはマイラー型に映るから、秋の2000m前後のレースで巻き返したい。
ブルーミングアレーは、直線で前が詰まってしまった。こういう馬場だからみんな良馬場時以上に進路変更が生じる。ちょっと不運だった。アプリコットフィズはどこかで馬場の悪化したインから外へ出したかったが、また体が減って422�圈�桜花賞時にも感じたが、一族のマンハッタンカフェと同じでこの時期の馬体維持に苦心して、また馬体重減。まして渋馬場。秋に巻き返したい。
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。
