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安田記念

  • 2010年06月07日(月) 00時00分
 土曜日の1600万下「湘南S」が、1600m1分31秒7。「NHKマイルC」で1分31秒4(Aコース)の日本レコードが記録されたころとは、コース(C)も芝コンディションも微妙に異なり、少し固い馬場に変化した「高速の芝」。とくに飛ばしそうな典型的な逃げ馬はいなかっただけに、それぞれの陣営の読みは複雑。枠順が決まって一転二転。案外、落ち着いた流れになるのか? それとも逆に芝状態を考慮し強気の先行策に出る馬が多くなるのか? レース展開(流れ)の読みは絶えずみんなと逆になることを考えるが、多くの場合、裏の裏であっても、作戦(注文)はめったに正解ではないから難しい。

 折り合って好位差しを理想とする伏兵エーシンフォワード(岩田騎手)は、快勝した阪急杯と異なり、なんと3戦連続の「8枠」。好位にいてはまた外を回されてなし崩しになる。一気に主導権を奪って自分のペースに持ち込む作戦に出た。キャプテントゥーレ(横山典騎手)は好スタート。相手の出方しだいでは、ペースを作ってもいいくらいの出足。最初から積極策展望だった。最内のリーチザクラウン(安藤勝騎手)は、押して出てはまた「かかってしまう」危険大だからフワッとは出たが、馬自身がやはり行きたがり、形として好ダッシュ。人気を分けた外のトライアンフマーチ(内田博騎手)がまた、本質スピード型の真価が前面に出てきて目下絶好調。まして内田騎手だからスタート抜群。

 エーシンフォワードが注文を付けたところへ、流れのカギを握りそうだったリーチザクラウン、キャプテントゥーレが先行体勢に入り、これにトライアンフマーチが加わり、できれば先行したいマイネルファルケ(松岡騎手)も加わったから、先行集団の作ったペースは「33.6−44.9−56.3秒」。前半1000m通過はNHKマイルCとそっくり同じ「56.3秒」となった。

 そのあとは古馬GIだからNHKマイルCを上回って1200m通過「1分07秒6」。1400m地点は「1分19秒3」。1400mのコースレコードを0.5秒も上回る厳しい流れになってしまった。結果、ふつうの流れならまず大バテしないマイネルファルケはしんがり18着。

 この流れで先行しながら小差4着に踏みとどまったトライアンフマーチは、よほどのハイペースでなければ先行馬は止まらない。そんな馬場状態を考えての先行策が結果としては裏目に出たが、「0.2秒差」なら中身は文句なし。負けたとはいえ、こんなペースはめったにあるものではなく、秋のマイル路線の主役だろう。キャプテントゥーレは一度は引き、あと1Fまで伸びかけたが、最後は失速して0.3秒差。もう少し軽いスピードレース向きということだろう。最後は底力負けの印象があった。

 リーチザクラウンは、最内枠を引いた時点で「勝負運」にそむかれたうえ、追い切り同様どことなく動きが重かった。途中で馬自身が被されるのを嫌って闘志喪失となったような部分もある。行きたがる気性から「マイル適性」は高いとされるが、本質が1600mベストの快速系ではないことも衆目一致。古馬になったこれからは1800m〜2000m(秋の天皇賞)の、平均ペースのレースを中心に頂点を目ざしたい。

 快勝したショウワモダン(父エアジハード)は、前々走の「ダービー卿CT」でデビュー以来初めて上がり3F「33秒台」を記録。前回は輸送後に入れ込んでマイナス「20圈廖そのうえ59圈しかし、一変の追い込み策で1800mを快時計で圧勝。ベテラン6歳になって39戦目。「1分31秒7」の快記録で、とうとうGI初制覇となった。管理する杉浦調教師からして「まさか。信じ難い…」と驚きを隠せない「大変身、驚異の充実、完成」だった。

 テスコボーイ系(父プリンスリーギフト)のGI(格)制覇は、1972年のランドプリンスの皐月賞が最初だったはずだから、このサイアーラインはずっと日本で存続し、38年のちにもGI馬を送ったことになる。サクラバクシンオーとともに、エアジハードが存続させるテスコボーイの父系は、GIの勝ち馬を送ったサイアーラインとして、「日本でもっとも長く存続」の記録をまた延長することになった。GIは別にしても、日本で40年近くも勝ち馬を送り続けたサイアーラインはないはずである(あとで、再確認したい)。

 2着スーパーホーネット(藤岡佑騎手)は、これで4回目のGI・2着。スランプを脱しデキ一変。レースの流れも味方、大外一気が見事にはまったかにみえたが、あと一歩及ばずの2着。こういう馬はいつの時代にもいる気がする。でも、まだ7歳。秋には第2のカンパニーになれる可能性はある。新しい世代の台頭が期待されたマイル路線、スーパーホーネットはそれを同じベテラン=ショウワモダン(隔世の感を与えつつも、血統面でいかにもふさわしい馬名となった)とともに許さなかったのだから、価値ある2着である。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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