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真のステイヤー、仕上がりそのものは早い

  • 2011年09月02日(金) 12時00分
 今週の新潟2歳S。フルゲート18頭のところに、21頭が登録してきた。このうち新馬勝ちした馬は17頭。すべての馬が最終登録を済ませた場合、未勝利勝ちした4頭が残り一つの枠を争うことになる。

 関西馬の登録が10頭。これが出走ラッシュの一因となっているが、地理的には新潟と栗東は近い。それに以前は1200mだったが、今は1600m。暮れの朝日杯FS、阪神JF、翌年のクラシック戦線に照準を合わせやすいのもその一因だろう。

 確かに2007年の優勝馬エフティマイアは、桜花賞とオークスでそれぞれ2着。2008年の優勝馬セイウンワンダーは、暮れの朝日杯FSを勝って2歳牡馬チャンピオンとなり、皐月賞と菊花賞で3着となっている。

 秋以降の2歳戦で無理使いをせず、クラシックに向けたローテーションを組めば、十分に成長が見込めるということだ。近年は血統レベルが上がり、そうした「伸びしろ」の下地は持った馬が多くなった。

 ステイヤー血統は晩成と思われがちだが、それは違う。真のステイヤーは仕上がりそのものは、実は早い。英三冠馬のニジンスキーしかり、米三冠馬のセクレタリアトしかり。そこから成長をどんどん上乗せしていく。

 日本で三冠馬となったシンボリルドルフ、ミスターシービー、ナリタブライアン、今秋に三冠馬を目指すオルフェーヴル。みんな仕上がりは早かった。ディープインパクトは秋のデビューだが、夏の早くにデビューさせることは可能だった。

 今年の新潟2歳Sで1番人気が予想されるジャスタウェイは、マイルの新馬戦が上がり33秒3。横一線から抜け出すと、2着争いを尻目に軽く5馬身突き放してゴールした。

 父がハーツクライで母系も優秀。体型も胴長で、マイラーどころかステイヤーといった感じだ。ここも楽勝するなら、クラシック戦線が楽しみな1頭になってくる。

 ただ台風の影響が心配。大飛びの馬のようなので、できれば良馬場でやらせたい。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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