最近、ステイヤーズSを待ち望んでいるようなスタミナ型はめったにいない。長距離型の特徴が濃いということは、スピードがないのだから、現在の体系では出世することがきわめて難しい。遠大な展望をもって育てなければならない。
この距離のレコードは、94年エアダブリンの3分41秒6。コンマ1〜2秒差の短距離戦の決着と異なり、菊花賞や春の天皇賞が示すように、実は長距離戦こそレベルの目安は時計である。その意味では最近のステイヤーズSは非常にレベルが低い。
中で、昨年エリモブライアンが抜け出し、3分43秒3で決着したレースは中身が濃い。今年はもう7歳末になってしまったが、そのとき2着のスエヒロコマンダーの評価は下げない方がいいだろう。簡単にはバテない。最近、この3600mを3分43秒台で乗り切った馬などめったにいないのである。
1昨年の勝ち馬がホットシークレット。こちらは3分45秒6だった。最近はひところの行きっぷりがないが、スタミナ能力は簡単に衰えるものではなく、自分の形に持ち込めれば、また今年も好勝負だろう。ムラだが、2500mを2分30秒8の東京レコードで乗り切ったように、秘める能力は高い。
この2頭のベテランに対し、まだ上がり目のあるのは5歳アクティブバイオ(父オペラハウス)だ。春の天皇賞が1.0秒差。同じくG1の宝塚記念が0.4秒差。3歳時に出走したこのレースではホットシークレットに差をつけられているが、現在の能力はもう互角だろう。前の有力馬をマークして進める。
長丁場は騎手の腕が大きいといわれるが、本当にそうかはともかく、後藤騎手は思い切りがいい。キングザファクト(今回は田中勝騎手)の春のダイヤモンドSなど、まさに絶妙のスパートだった。